皆様、私は誰かを愛していました。【白鳥沢】 (ページ15)

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合宿前の一幕ページ15

合宿前の1幕
天童side

あの時取った…手紙を開けてみたんだ。

そこには可愛い文字でいかにも彼女らしかった。

そこには賢くんへから続くものだった。

賢くんへ

私達いつも一緒だったね。

だからかも知れないけど、私はいつの間にか賢くんの事が好きなりました。

そして、好きでした。

笑いあったり、泣きあったり…楽しく過ごした日々は私にとっての宝物です。

でもね、私が賢くんの事を好きになったのってバレーを初めてからだったの。

トスとか…レシーブとかがね、かっこよく見えてキラキラしてるの。

だからね、ああこれが恋だって気づいたの。

でも、それは違ったの。

私は賢くんが好きじゃなくてバレーをしている人が好きなんだって。

賢くん以外の人もそう見えたから、間違いないんだよ。

だから…………

許して。

Aより

彼女は一体何を考えてこれを書いたのか分からない。

手紙は水でも浸かったのかと思うほど丸く円を書いて少しくしゃとなっていた。

何を考えいるノ？Aちゃん。

俺は君の事が知りたいヨ。

俺はその手紙が彼女が博愛主義者になった理由の一つのように思えた。

そして彼女が人として欠如したようになった理由のようにも受け取れた。

俺は静かにその手紙を綴じ、合宿の準備をしていた、バッグにそっと入れた。

またこの関係を壊す事になるかもしれないけど、聞かなきゃ。

俺の静かなる決意だった。