9*Nozomi ページ9
.
“地元の奴ら以外で葵のことを知っているのは、勇人とAちゃんだけ。これから先、他の人たちに話すつもりはないし、うん……話さないよ”
．
そう長野さんが話を終わらせたけど、
私はどうやって言葉を返せばいいか分からなかった。
自分から聞いたくせに、
無計画な悪いところが出た。
グラスの中の氷は、私のチキンなハートみたいにちっちゃくなった。
なんだか、別人みたい。
酔っちゃったのかな。
そんなにこのお酒強くないのに。
この雰囲気に、やられたのかな。
．
．
．
“じゃあ、そろそろ帰ろうか”
そう言って、
さらっと当たり前のような動きで、会計を済ませれば、こっちを向いて白い歯を見せる。
あ、いつもの長さんだ。
．
私も、いつものように、白い歯を……
見せたいのに、
身体は言うことを聞かない。
やっぱり、酔っちゃったかな？
こんな言葉、なんで溢れる。
．
．
．
希「どうして、私に教えてくれたんですか？」
．
．
そんなの、決まってる。
私が封筒の名前を見ちゃって、
うっかり先生から聞いちゃって、
“教えてください”
なんて言ったからだ。
分かってるのに、聞いちゃうの。
多分それは、
可能性はゼロじゃないっていう思いが私の中にあって、
たちが悪いけど、
長さんの口から聞きたいって思っちゃったからだ。
．
酔ってんな、私。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひー | 作成日時：2015年5月30日 16時
