3*Hisayoshi ページ3
勇人とAちゃんたちが帰るから、
じゃあ俺らもって、ちょっとペアみたいに取られる言い方で花さんにお礼を言って店を出る。
タクシーはまだ一台しか来てなくて、
酔っ払いと凛ちゃんを抱えたAちゃん1人で残す訳にはいかないから、先に乗ってもらう。
多分、もう一台の方の運転手、
迷子になってるんだろうなー、なんて、
まあ、それはしょうがない。
．
．
希「……あの、」
長野「タクシー来るまで中戻ってよっか」
夜風が気持ち良いけど、
アルコールが入ってて火照ってるし、
身体冷やしちゃダメでしょ。
“はい”と、彼女は俯きながら頷いて、2人でまた戻っていく。
花さんの片付けを手伝いながら考えるのは、
さっきのことだ。
．
．
封筒の中まで見るような人じゃない。
それは分かってる。
たまたま、名前だけね。
それは別に構わないんだ。
．
ただ……、
．
．
希「あっ、タクシー来ましたよ」
長野「ああ。じゃあ行こっか」
時間も遅いし、距離もあるし、
先ににのんちゃんが泊まってるホテルまで。
やっぱりちょっとこの辺慣れてなさそうな運転手さん。
どうでもいいことだけど。
．
希「あっ、ここで大丈夫です」
長野「あ、じゃあまたね」
希「はい。ありがとうございました」
長野「うん。あ……」
．
俺らが乗ってるタクシーの一台前に停まってたタクシー。
のんちゃんの横を、
懐かしい顔が通った。
．
．
希「どうかしたんですか？ 長野さん」
．
ー えっ、あ……、長野
．
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作者名：ひー | 作成日時：2015年5月30日 16時
