2*Nozomi ページ2
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田口葵さん。
長野さんの、大事な人。
友達?
元カノさん?
分からないけど。
私が知ることでもないか。
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彼が大事そうにカバンへとしまうその封筒の中に、何があるのかは分からない。気になるけど、わかっちゃいけないのかもしれない。
きっと、誰にも見せてないんだろう。
大事な人からの手紙だもんね、
私がもしその立場なら、
誰にも見せないもん。
でも、いつも側に置いておくなんて、
やっぱり、
気になっちゃうよ……
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それは、いきなりだった。
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「……勇人ー」
少しの静寂を切り裂く声。
私も長野さんも、
驚いて肩をピクッとさせる。
長野「Aちゃん……、そろそろ帰る?」
「あっ、はい。あれ、なんかお邪魔でした?」
長野「いやいや、早くこの酔っ払い片付けないとだからちょうどいいよ。もうみんな帰んないとだし」
うん。
その通り。
邪魔するって、
そんな雰囲気じゃない。
私たちはそんなんじゃ。
確かに旦那は寝言でA、Aってうるさいから、ちょっと邪魔だったけど。
本当に2人っきりだったら、
どうなっていたか分からない。
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初めて、気まずかった。
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やっぱり、見ちゃだめだ。
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“葵さんって、どんな人だったんですか? 何があったんですか?”
その言葉は飲み込んで、
喉を通してどこか闇へ。
他人に土足で踏み込んじゃ、ダメだ。
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作者名:ひー | 作成日時:2015年5月30日 16時