理不尽 ページ9
「なにこれ」
楓の車に揺られてたどり着いたのは喫茶・時雨原宿本店だった。さすがに車の中ではつばさと2m距離を取ることはできなかったので車の中だけは2m以内に入ることを許すことにした。
案内されたのはボックス席。
着席してすぐに飲み物を頼んだ。
目の前にはつばさがいて、隣には何故か満面の笑みの兄がいる。一の視線がずっと刺さっていて、Aはくわりと牙を剥いた。
「鬱陶しいっ‼」
吠えるように言って、Aは一を睨みつけた。
「なにも言ってないじゃん」
「視線が鬱陶しい！なんでここに来てんだよ！仕事しろよ！」
「俺、もう上がりだもん」
「じゃあ帰れよ！悠花さん待ってるでしょ！」
「悠花にはじいやがついているから大丈夫。それよりも俺はAに変な虫がつかないか心配」
「はあ？意味わかんねーし！」
「うちのかわいいAを守るのも兄ちゃんの役割だからな」
肩を抱き寄せる一をAはどん、と突き飛ばす。
「俳優とか、企業するって言ってる人とか、安定しないやつはダメだ。Aを任せられない」
「それ、暗に俺のこと言ってますよね。大丈夫ですよ。天地がひっくり返ってもありえないので」
「はあ？それはいくら楓くんでも聞き捨てならない。うちのAのかわいさは天下一品なんだぞ」
地獄の底を這い回るような声で言う一に楓は笑った。
「相変わらず理不尽ですね〜。でも、俺には心に決めた人がいるので、今更Aは選ばないので安心してください」
「そっか」
一は楓の言葉に納得してにこりと微笑む。そして、その視線をつばさに移してまた鋭い眼光で品定めするように見つめた。
「Aちゃんは世界で1番かわいいですよね！崎山つばさです！」
言われる前にそう言ってつばさは一の様子を伺う。
「はあ⁉何言ってんの、崎山さん！」
手首につけていた、ピンク色のシュシュをつばさに投げつけて、Aはフードを目深に被った。頬は赤く、それを隠すようにフードの布地を引っ張るように持つ。
シュシュだから、投げつけられても痛くない。
「Aちゃん」
キャッチして、つばさはそれを返そうとAに手を伸ばした。その寸前で、一が割り込んできた。
「はい、ストップ！Aに触れないでいただこうか」
「お兄さん」
「お前にお兄さんと呼ばれる筋合いはないっ‼」
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
