痛み ページ48
長野の家に帰らずに、Aは綾乃の部屋で膝を抱えていた。号泣しながらつばさに酷なことを言った。
つばさの方が辛いはずなのに、ズキズキと痛む胸が苦しくて泣き続けた。
電気もつけずに、鍵だけを閉めて腕に顔を埋める。つばさのファンからのどんな辛い言葉よりも苦しい。つばさに自分のことは諦めてと言ったことの方が辛くて苦しかった。
つばさのことなんて好きじゃないはずなのに、どうしてこんなに胸が痛むのかAには分からなかった。
「ただいまー」
電気がついて、綾乃の驚くような声が聞こえた。
「びっくりした。電気くらいつけてよ」
「…ごめん」
涙声の妹に綾乃は近寄って背を撫でた。
「何があったの？」
優しい声に問われて、Aは話をしようとしたけれど、喉から発せられる声は嗚咽だった。言葉にならなくて、余計姉を心配させると分かっていながら泣き崩れることしかできなかった。
「よしよし」
綾乃の腕に抱きしめられてまた涙が溢れた。
「Twitterで騒がれてたことと関係ある？」
頷いて、泣き続けるAの髪を撫でて、血を分けた妹の背を慰めるようにぽんぽん、と叩いた。
「崎山さんに、私のことは、……諦めてって…」
鼻を啜りながら一生懸命話してくれる言葉に耳を傾けた。
「もう、2人で…会うのは、崎山さんのためにも……やめた方が、いいと思った」
「うん」
「好きって…言ってくれて……私ね、すごく嬉しかったの。…….最初は、何で私なの、って…思ったし、好かれるのが、嫌だったのに……」
綾乃の背中に腕を回して抱きついた。泣いても泣いても、涙は一向に枯れない。
「何度フッても…諦めないし……でも、一緒にいると楽しかった…。愛していたって……」
言葉に出しながら、胸が強く痛むのを感じる。
「愛していたって、過去形にされて……私、苦しくなっちゃって……。崎山さんの方が、辛いのに…。傷つくのは、私じゃないのに…」
「うん」
「…昨日、キス、されたの。……びっくりしたけど、嫌じゃ、なかった。……なんでこんなに、苦しいのかが……分からない。……諦めてって、ずっと思ってた…はず、なのに」
「Aにとって崎山さんが大きな存在になってたって事ね」
綾乃はAから離れると、その頬を拭った。
「バカね。そんなに好きなら手放しちゃダメよ」
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
