道理 ページ31
本当に美味しそうに微笑む姿につばさの胸がキュンと鳴った。若干顔を赤くしながら、Aの様子を盗み見る。目が合うと笑みを深めるその仕草がかわいくてドキドキと胸が鳴る。
「崎山さん、顔赤い。……そんなに私のこと好き？」
傍から聞けば自意識過剰とも取れる言葉。つばさの想いを知っているAだから投げかけられる言葉だった。
「うん。好きだよ。大好き」
「困ったなぁ」
手を合わせて食器を置いてAは下唇を噛んだ。好きだと迫られては困ったように笑いながら突っぱねてきた。それは今もまだ変わらない。
「一応、崎山さんのこと1人の男の人として見るようにはしてるし、考えてもいるけど…」
「まだ好きにはなれない？」
つばさも食器を置いた。テーブルの上には空の皿が2つと、中身が入った飲み物のティーカップが2つ。そのうちに空になったお皿を店員が回収していった。
つばさの言葉に頷いた。
「昨日お姉ちゃんに少しだけ怒られたの」
昨夜、姉にした話の内容を思い出して、少しだけ朱を散らした。
「告白された以上はちゃんと向き合えって。それが道理だって」
「うん」
優しい声。見上げれば優しい瞳と目が合った。真剣に聞いてくれる姿勢が少しだけ嬉しかった。
「でも私、怖くて。もし、誰かを好きになったらどうなるんだろうって。私、誰かを好きになった事がないから分からない。分からない事がこんなに恐ろしいだなんて思わなかった」
テーブルの上で握り合わせた手。俯いて言葉を選びながらつばさに伝える。
「お姉ちゃんに相談したら、崎山さんに相談しろって言われたから言ってみたんだけど…」
つばさはAに柔らかく笑いかける。片手を取られて、握られる。ちょうどテーブルの中間で手が重なっている。
「分からなくて怖いなら、知ればいい。俺が教えてあげる。生憎、恋の駆け引きみたいなことはできないから、まっすぐにしか伝えられないけど」
つばさの熱い視線がAをまっすぐ見つめていた。パッと俯いて、つばさの手を握り返した。
「じゃあ、教えてもらおうかな…」
じわりと頬が赤くなるのが分かる。少しだけ恥ずかしくなって、空いている方の手で前髪をいじる。
「まだ時間ある？」
こくりと頷いたAにつばさは嬉しそうに微笑んだ。
「車取りに行ってもいい？ドライブでもどう？」
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
