言い寄られている人 ページ24
会議室のように長机と椅子を配置して、向かって右側に俳優、左側に声優が座るようになっている。
廣瀬とAは前方の椅子に座っていた。まだ誰の姿もない室内で、ただただ緊張していた。
「廣瀬さん、彼女できました？」
「ダメです。全敗中です」
そんな、どうでもいい会話をしていないと落ち着かない。
「先生はどうなんですか？」
「私は…」
「歯切れが悪い。先生、いつもだったら即答でいないって答えるのに。なんかあったんですか？」
「……彼氏は、いないです。けど、言い寄られている人は、います」
「…それは」
言いかけたところで、外が騒がしくなってきた。ぞろぞろと数人が一斉に入ってくる。立ち上がったAに最初に近付いてきたのは優しい笑顔をさらに崩したつばさだった。
「Aちゃん、おはよう。今回もよろしく」
手を差し出されて、慌てて右手を差し出した。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
一回、ギュッと強く握られて離れていった手がAの髪を撫でていった。
「廣瀬さんもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
短い握手を交わして、つばさは優しい笑顔をAに向けた。その視線につばさの恋心が詰まっている気がして、直視できなかった。
「じゃあ、また後で」
こくりと頷いてつばさを見送る。
「…まさか、先生…」
こくりと頷くAに廣瀬は目を丸くした。相手は人気俳優だ。その人に想いを寄せられているなんてファンが知ったら、悲鳴ものだ。
「……はぁ。すごいですね…。できることなら俺も綾瀬はるかと付き合ってみたい…」
「綾瀬はるかって、廣瀬さんの5つも歳上ですけど」
そんな軽口をたたきながら、Aは賑やかになりだした会場を見渡す。立ち上がって、挨拶に行こうとしたところで、誰かとぶつかった。
「わっ」
一歩下がって、頭を下げる。
「すみません！」
「あ、いえ、こちらこそすみません！」
顔を上げると、端正な顔。つばさよりも高い位置に顔があり、見上げるのに苦労する。
「まりちゃんですね！はじめまして。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ここでは夏生とお呼びください」
「了解です」
右手を差し出せば、握手をしてくれる。つばさよりも大きな手だった。
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
