怖い ページ23
「ちゃんと考えて、それでも崎山さんのことを好きになれないのなら仕方がない。崎山さんがそれだけの男だったってことよ。でももし、崎山さんと一緒に幸せになりたいのなら、その気持ちに嘘をつかないで素直に伝えるべきよ」
Aの不安そうな瞳を見つめて、綾乃はその小さな体を抱きしめた。
「大丈夫よ。Aは幸せになっていいの。…お母さんも、Aの幸せを願っているわ。時雨財閥になんて屈しなくていいのよ。私たちは自由なのよ」
「……お姉ちゃんは、幸せ？植田さんと付き合って」
「それはもう。幸せすぎて逆に怖くなるくらいよ」
「そっか。……私も幸せになれるかな？幸せになる努力をしてもいいのかな？」
「もちろんよ！」
「……そっか」
綾乃の肩に手を回して抱きしめ返す。
「私、崎山さんのことちゃんと考える」
「うん。そうしてあげて」
「でも、怖い。崎山さんのこと好きになったら、私どうなっちゃうんだろう…」
もし、このまま彼に恋をしてしまったら。恋をしたことがないから、自分がどうなってしまうのか分からない。分からないことが怖い。
「じゃあ、それを崎山さんに相談してごらん」
「え、崎山さんに？」
「きっと受け止めてくれるわ。それでAの憂いが晴れないのなら、それまでの男だったってことよ」
「お姉ちゃん、手厳しい」
肩を押して離れると、Aは口元を隠して笑った。
「そのくらいのキャパがないとうちのAは任せられないわ」
「さっき、崎山さんなら安心して任せられるって言ってたのに」
「……とにかく、ちゃんと向き合って。怖いなら怖い、不安なら不安だって言いなさい。本当にAのことが好きなら、助けてくれるわよ」
「うん。分かった」
素直に頷いて、Aは天井を仰いだ。
明日はAにとって新しい試み。3プロの顔合わせがある。声優と俳優が一堂に会するのだ。担当編集の廣瀬も一緒だ。つばさもいるし、Aが大好きな声優の蒼井翔太もいる。
楽しみだけど、プロジェクトのテーマも何も決まっていないので、どうなるのか先が全く見えない。明日の顔合わせで少しだけ決めるらしいが、正直緊張している。あの蒼井翔太がいるのだ。それに、テーマによってはAが苦戦を強いられることになる。
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
