半年 ページ21
『半年かー。長いようで短いな』
つばさは部屋のベッドに体を投げた。今日の事を全て打ち明けた。腕で目元を覆って、電話の向こうの麻璃央に呟くように言う。
「今日もかわいかった…。やっぱり、好きだなぁ」
『知ってる。つばさが時雨さんにべた惚れなのは』
「なんでこんなに好きになっちゃったんだろう…」
Aがつばさに向ける『好き』はファンとしてのもの。30過ぎて6歳も下の女の子をこんなに好きになるとは思わなかった。このまま半年が過ぎて、彼女を諦めないといけなくなったら、つばさは本当に彼女を諦め切れるのか、自信がない。
諦める自信も、半年以内に振り向かせる自信もないのだ。どうせ自信がないなら、思いっきり当たってみせようと思う。
『理屈じゃないんだよ、そういうのは』
「そうだね。理屈では語れない」
『デート、どこ行くの？』
「映画。死神遣いの事件帖、まだ見てないんだって」
そう言うと、電話の向こうで麻璃央が吹き出すのが分かった。
『好きな人と、自分が出演している映画見に行くの？ウケる』
笑いながら言う麻璃央に、つばさも笑う。
「半端な芝居はしてないし、それでAちゃんの笑顔が見られるならいいかなって」
自分が出演している映画でも、彼女が喜んでくれるなら嬉しい。
『恋、か…』
ぽつりと呟く声が聞こえる。
恋をしている人はその誰かの行動や言動に一喜一憂して、忙しい。それはつばさも例外ではない。
『うまくいくといいね。応援してる』
「ありがとう」
『半年後のつばさに期待、かな。刹那の宴が終わっても、3プロがあるからまだまだ接点あるね』
「うん。嬉しい。近々顔合わせがあるから、それも楽しみ」
3プロの顔合わせが7月20日に迫る。俳優も声優も一堂に会することになる。大所帯になることが予測される。
『主演がつばさで準主演が俺なんだよな。さしずめ俺はつばさの右腕、てところか』
「あはは！そうだね。よろしく」
『できるところで協力してやるよ』
「ありがとう」
麻璃央の気遣いが嬉しくなり、つばさは電話の向こうで微笑んだ。
「麻璃央も好きな人できたら教えてね。協力するから」
『ありがとう。でも、今はいないかな』
あはは、と笑う麻璃央は見ている限り仕事一筋で今はまだそういう相手はいなさそうだ。
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
