大志 ページ19
「かわいいからかわいいって言ってるだけだよ」
「うっ、うるさい‼」
握られていない、左手でつばさの胸を叩く。
右手を引けばするりとつばさの手から解放された。
「はいはい、邪魔するよ〜」
そこへ、ズカズカと楓が入ってきた。手には桶。シャンプーやボディソープなどの入浴セットが入っていた。浴衣に着替えていて、彼はベッドに座ると足を組んだ。素足が見えるが、そんなものを気にするAではないのに、その目をつばさが塞いだ。
「ちょっと、崎山さん？」
「楓くん、足見えてる‼」
慌てるつばさに楓は笑った。異性の、しかも楓の足を見て恥じらうような時期はもうとっくに過ぎている。だが、つばさがAの視界に入れたくないのならと、楓は組んでいた足を解いた。
「今更Aに足見られたところで何も感じねぇけどな」
足を開く楓は膝に肘を乗せて、頬杖をついた。
「楓くん、今度はパンツ見えてる」
「気にしすぎだって」
そう言いながら、楓は足を閉じた。なんだかんだでつばさの言葉を聞いてくれる。
「Aとは一緒にお風呂も入ってるしな」
「いつの話をしてんの」
「体の隅々まで見られてるから、今更隠すところはないんだけど」
「…え」
「隠せよ。恥じらえよ、少しは」
つばさの手をどかして、Aは楓を睨みつけた。とても彼女がいる人の発言とは思えない。
「崎山さん、こいつが言ってるの小さな頃の話だから気にしないで。あれは確か…新潟？」
「そうそう、翔子と俺と時雨家の旅行について行ったんだよな」
「強烈だったから、よく覚えてる確か3歳だったよね」
ぽんぽんと交わされる会話につばさはついていけず。微笑を浮かべていた。
「お前のとこの大志がまだ赤ちゃんだったから、そんくらいだな。そういえば、大志は元気？」
「元気元気。たまに連絡してくれるよ」
「大志、いい子だな。相変わらず」
「ツンデレを実写化したらあいつになる」
「あ、大志ってのはAの弟。これがまたかわいくって。どうして同じ人から生まれてきたのに、こう違うんだろう…」
本気で憐れむ楓にAはふふ、と柔らかく微笑んだ。立ち上がって数歩歩み寄ると、Aは楓の頭にチョップをお見舞いした。
痛みで倒れる楓を見下ろして、冷めた視線を送る。
「大志がかわいいのは当たり前。私の弟なんだから」
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
