男として ページ18
口が勝手に言葉を紡ぐ。正直、その期間内にAを振り向かせられるか、自信はなかった。いつだって、恋愛に関しては自信を持って事を成し遂げたことはない。彼女に好きになってもらえるような材料も自信も今のつばさは持ち合わせていなかった。それでも、口から滑り出す言葉は止まらなかった。止められなかった。
「だからお願い。俺のこと、男として見て。考えて。Aちゃんが好きになってくれるように頑張るから」
「……分かった」
つばさは渋々と頷いたAにぱっと表情を明るくした。
「ありがとう！好きになったら言ってね」
「絶対諦めさせてみせるから安心して」
ぎこちなく微笑むAにつばさは嬉しそうに微笑んでいる。
「私に関わって、昨日みたいに危ない目に遭っても知らないからね」
Aはつばさを男として認識してしまっても、彼に惚れないと思っていた。この時は。
その確信がすぐに覆されるとは夢にも思っていなかった。
「そしたら、Aちゃんだけは絶対守るよ」
「バーカ」
スッと立ち上がると、つばさの目の前にしゃがみ込む。2m以内に入るAにつばさは目を瞬かせた。
「とりあえず、半径2m以内に入らないでって言ったのは取り消す。でも、あまり近づきすぎないで。このくらいの距離が望ましいかな」
人0.5人分の距離を開けてAは微笑んでいた。
「分かった」
「半年ってことは、来年の2月までか…」
顔にかかる髪を後ろに払って、Aはゆっくりと床に腰を下ろした。
長いような、短いような期間だった。
「ねえ、私のどこが好きなの？」
つばさは首を傾げるAのその綺麗な手を両手で包み込んだ。いきなり手を取られたことに驚いた。見上げると、つばさは頬を染めながら語り出した。
「全部、好き。最初は笑顔が素敵な人だなって思ってた。街で偶然会ったり、一緒にお茶をしたりして気になりはじめた。コロコロ変わる表情も、たまに口が悪くなるところも、なんだかんだ家族想いで優しいところも全部、好き。隣にいるとなんか、落ち着く」
「なにそれ。口が悪いのはマイナスイメージだと思うんだけど」
「世間的にはそうかもしれないけど、そこもAちゃんのかわいいところだよ」
「かっ…‼ばっかじゃないの⁉毎回毎回、私のこと、かわいいかわいいと…‼」
やっと白くなった頬にまた赤みが差す。
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星ノ宮昴(プロフ) - westさん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！ノリで書いているので、更新はかなり不定期ですが、よろしくお願いします (2021年3月7日 23時) (
レス) id: 0939823488 (このIDを非表示/違反報告)
west - コメント失礼します！読んでてすごい面白くて、あっという間に読んでしまいました！これからも陰ながら応援させていただきます！ (2021年3月7日 22時) (レス) id: 4daf55a770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2021年2月3日 1時
