プレゼント交換 ページ42
食事を終え、デザートを待っている間にずいっと差し出す。
さすがに驚いてはいたが、袋を両手で受け取ってくれた。それにホッとしながら、髪の先を指でいじった。
「いいのに。でも、ありがとう」
嬉しそうに礼を言うとつばさは交換、というかのように手のひら大の小さな紙袋を差し出す。
「たまたま見つけて、Aちゃんに似合いそうだと思ったから。良かったら使って」
「えっ。いいの？」
頷いたのを確認して、Aはそれを両手で受け取った。プレゼント交換のようになってしまったが、買ったものを渡すことができてAはひとまず安堵した。
そこへ、デザートが到着した。きな粉でコーティングされたわらび餅が甘い匂いを発している。
「開けていい？」
わらび餅を食べる前にお互いそう聞いて、了承を得てから袋を開けた。
つばさの手の中にはパーカー。Aの手の中にはリボンの髪飾りがある。
つばさの瞳を一度だけ見上げて、また視線を髪飾りに移す。
薄ピンクのリボンがかわいいバレッタだった。
Aはつけていたリボンのヘアカフスを取り、バレッタをつけてみる。パチ、と音がして髪を飾ったリボンは彼女の雰囲気に溶け込んだ。
「似合う？」
首を左右に振ってそう聞くと、つばさは柔らかい笑顔を浮かべて頷いた。
「すごく似合ってる。サイズもぴったりみたいで良かった」
つばさも羽織っていたシャツを脱いでパーカーに腕を通した。
「どう？」
Aは親指を立てて、微笑んだ。
「最高」
紺色が、つばさによく似合う。
「やっぱり、崎山さんって青とか緑系がよく似合うよね」
つけていたヘアカフスを袋に戻しながらそう言った。
シャツをしまおうとしているつばさに、Aはあ、と声をもらす。
「崎山さん、それタグついたままだけどいいの？」
「それはいけない。でも、ハサミ持ってない」
そう言ってつばさは諦めたようにパーカーを脱ぐ。
「私も持ってない」
「…残念だけど、着るのは明日にするよ」
「うん。そうして」
そう言って、Aはつけていたリボンをしまい、つばさはもともと着ていたシャツを羽織りパーカーをしまう。
やっとわらび餅に手をつけはじめた。
「おいしい！」
同じものを食べながら、Aはそう言って頬を押さえた。
「おいしいね」
わらび餅を絶賛しながら食べていると、すぐになくなってしまった。
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作者名：星ノ宮昴 | 作成日時：2020年6月14日 15時
