【名探偵コナン】おいコラ、私のうはうはハーバード生活を返しやがれ！！ その４【トリップ】

第１４７話 ページ6

脳内で8度見ぐらいしてから、私はもう1度無理心中、と口に出して驚愕のあまり
呆然としている脳みそに刻みこむ。勿論その言葉に度肝を抜かれたのは
私だけではなく、声を上げた平次君含め皆が目を見開いていた。

「…ちゅうか姉ちゃん誰や?」

最初に我に返った平次君が、工藤君を指さしながらその言葉を発した大学生くらいの緩めのマッシュルームヘアの女の子に問う。彼女は腰に手を当て、ツリ目を一層吊り上げて刺々しく答えた。

「両親を亡くしてこの家に厄介になってた誠人の同級生よ!!ホラ、その写真にも写ってるでしょ?
村長の後ろに!!」
『この眼鏡の人?』
「ホントだ…」

言われた通り先程の写真のソバカス君を確認する。


へぇ〜、この子が誠人君かぁ…って待てよ?それってまさか!


聞き覚えのある名前に私が勘付いたのと、平次君が彼女に聞いたのがほぼ同時だった。

「ちょー待ち!マコトって屋田誠人の事か?」
「ええ、そうよ!遺体の第一発見者として真っ先に疑われた屋田誠人よ!!まぁ彼は犯行当日大学を
受験するために都心のホテルに泊まってたから、疑いはすぐに晴れたけどね!」
『へー』

事件が起きたのが1年前でその日受験って事は、誠人さんとこの子は現在大学2年生かビンゴ!
そして機嫌が悪そうな彼女――名乗ってくれないのでマシュJDちゃんと呼ぼう――に、同じく苛立っているらしい平次君が半目で噛みつくように言う。

「ほんなら聞くけど、その誠人さん今どこにおんねん?工藤の推理ミス見つけたから工藤連れてここに来いっちゅう手紙寄越したくせに、行方不明っちゅうんはどういうこっちゃ?」
「行方不明なんかじゃないわ…」

するとマシュJDちゃんは今までの威勢を弱め、怯えた様な表情になる。

「多分誠人は…殺されているだろうから」
『え!?』
「何?」
「どういう事だ?」

衝撃的な発言に戸惑って聞き返す私たちに、彼女は若干青い顔で俯き加減に話す。

「村の人は誠人が都心でアルバイトしてるなんて言っているけど…彼、この家の養子にしてもらってたから遺産はかなり…」
『ふーん。その相続金を狙って誰かが、って事?』

後ろから刺さるおっちゃんのジト目をものともせずそう言う私に、マシュJDちゃんは頷く。
自分の思考に集中してるのか、聞こえた子供の声音は特に気にしていない様だ。

「でなきゃあの誠人が半年も音信不通なんて有り得ないし…」

そこまで言うと、彼女は更に顔を青くさせてこう呟いた。

「そ、それに殺したのはもしかしたら、森の…」

第１４８話→←第１４６話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す