第155話 ページ15
「何なんや?工藤の魂胆って」
平次君が言うと、おっちゃんが後ろを歩く工藤君を胡散臭げに見る。
「まぁ今分かっているのは、どう見ても強盗殺人事件にしか見えねぇ事件をコイツが
無理心中だと推理した事と、その動機が見当外れだったって事…」
「そしてもう1つ…この森ん中に得体の知れん何かが、今も潜んでるっちゅう事や…」
すぐ横のざわめく木々たちを見ながら、平次君がそう付け足す。
その言葉に黙りつつも脳内思考を回転させていると、不意に蘭ちゃんの言葉が耳に入った。
「ねぇ和葉ちゃん。例えば…例えばの話だよ?」
不安げな表情でそう前置きしてから、蘭ちゃんは頷く和葉ちゃんに話す。
「ずっと会いたかった自分の好きな人が突然目の前に現れて記憶喪失だったら…和葉ちゃんなら
どうする?」
ん?ちょっと待て、それって…
暗く、しかし儚げに微笑みながらの彼女の言葉に思わず足を止める。そんな私に気づかず歩きながら、和葉ちゃんはきっぱりと告げた。
「そらもう、わんわん泣いてまうわ!!やっと会えた嬉しい気持ちと、自分の事も忘れてしもてるっ
ちゅう悲しい気持ちが一緒にこみあげてきて…もしそないな気持ちにならへんかったら、そんなん
好きな人やない、ただの友達やんか!!」
うっわぁバッサリ切ったな…
呆れと感心を感じていると、蘭ちゃんが、だよね… と肩を落とす。その様子を見て我に返った和葉ちゃんが慌てて弁明していた。
「あ、ちゃうちゃう!今のはアホなアタシの場合で…」
「私、何も感じなくて…ただただ新一が遠くに行っちゃった気がするだけで…」
『!』
その言葉に私は思わず目を細めた。
そんな彼女を励ます和葉ちゃんの言葉を聞き流しながら、自分の思考に浸る。
――――さっきから思ってたけどさ、幾ら何でも蘭ちゃんの態度おかしくないか?
だってさ、彼女たちの言う様に泣いたりとか心配したりとかもっと感情を曝け出すでしょ普通。
何たってずぅっと待ち焦がれてる想い人なんだからさ、工藤君は。原作CPだぜ?
まず、もっと彼にくっついて世話を焼くと思うんだよね、彼女なら
初めて元の姿に戻った時も学園祭の時も、階段駆け下りる彼を追ったり保健室で気を失う彼を
見守ってたし…記憶喪失なら尚更じゃない?
照れ、とかではないわな。それなら頬を紅潮させたり何かしら反応する筈
でも今の彼女は逆によそよそしく、何か戸惑ってる様だ
まさか、一途な彼女が今更工藤君への想いを捨てる訳あるまい
…だとしたら、
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立体起動装置愛用者(プロフ) - ハルさん» そうなんですよ、とりあえずそこまで行かないと純黒のメドが立たないんです(白目)おおお、温かいお言葉ありがとうございます!続編でもどうぞよろしくお願いします!! (2016年8月12日 8時) (レス) id: 4e1c80c688 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 立体起動装置愛用者さん» 目標安室さんなんですねw飽きるなんてとんでもないです!これからも楽しく読ませてもらいます (2016年8月12日 7時) (レス) id: 72a9d5b272 (このIDを非表示/違反報告)
立体起動装置愛用者(プロフ) - ハルさん» はい、色んなキャラが出ますよ〜!とりあえず目標は安室さんなんですが、そこまで果たして続くのか。そして読者さんは飽きずにいてくださるのか…。おお、その絡みが好きですか!うーん、でも彼が新一の姿なのは今回以外はロンドンだけですねぇ…。あ、映画があった! (2016年8月11日 8時) (レス) id: 4e1c80c688 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - これから先進んでいくに連れ他の色んなキャラとの交流も増えますよね!あとトーカちゃんと新一のからみ、大好きなのでもっと増えることを願ってます! (2016年8月11日 8時) (レス) id: 72a9d5b272 (このIDを非表示/違反報告)
立体起動装置愛用者(プロフ) - 紅葉さん» ホント笑えないですよね…コナンはどこまで続くんだろう…早く全カップルがくっついてほしいなー。私の願望は新蘭と平和カップルが其々キスしてるところを見る事です(断言)男の子2人は何気にキス上手そう、早く来ないかな〜。え?書かない?言わせねェよ(超笑顔) (2016年8月10日 22時) (レス) id: 4e1c80c688 (このIDを非表示/違反報告)
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