【名探偵コナン】おいコラ、私のうはうはハーバード生活を返しやがれ！！ その２【トリップ】

第５１話 ページ5

ハァとため息をついて彼から顔をそらす。

どうしよ…いっそ、素性を話すか?
だって完全に子供口調放り出しちゃったし、ヒント与えすぎちゃったもんなぁ
いや、信じてくれる可能性低くね?私原作に大いに関わっちゃうし…


―――でも

『…』

少年を再度見る。表情も視線も真剣で、キッドとはまた違う人を惹きつける力があった。
同時に、一刻も早くこの視線から逃げたいと強く思う。このままだと飲まれそうな、そんな
気がした。


クッソ、一体どうしろっつんだ!!ってか、こんな奴が敵だと思ってんの!?頭大丈夫!?
自分の事人外って答えたんだぞ!どう考えてもあり得ないわ!!何なの馬鹿なの死ぬの!?


「という訳で、質問に答えてくれない?」



何かないか、この手から、視線から、死神から、解放される手段は……??




―――非常事態に慣れたのだろう、停止しなかった思考回路をフル回転させた時だった。


「コナン君!」

ヒロインの声が後ろから聞こえてきたのは。
何コレ色々詰んだわ、と頭を抱えたくなった瞬間、

「らっ、蘭姉ちゃん!?」

あろう事か大切な恋人に気を取られ少年は、一瞬掴む手を緩めた。
有難いその隙を突き、強く振り払って逃れる。勿論スマホも回収して。

「あっ、ちょ!」

慌てる死神から一気に距離を取って振り向く。
コチラへ手を伸ばす彼と、後ろから追いかける恋人さん…あぁなんて可愛らしい。


いやぁ、こんなとこまでそっくりとは思わなかったよ!!フハハ、案外チョロイな!!!


という意味も込め、フッと口角を上げる。途端に彼の顔が険しくなった。
空気が引き締まる。


ヲイ、何だと思ってんのん名探偵!案外あんたも頭悪いな!笑える〜


私はゆっくり言葉を紡ぐ。

『これだけは教えてあげる、小さな探偵さん。私の事は調べても無駄だよ?
貴方が得する事なんて、1つとしてないもの』
「!?それはどうい―――」
『じゃね〜♪』

何か言おうとした彼に悪戯っぽく手を振り、全力でその場を離れた。
彼女が駆け寄っていたから、追いかけてくる事はまずない。

とりあえずどこか遠くへ行こう、と私は子供の体に鞭打って足を動かした。


□□□□


『ここまでくれば平気かな〜』

数十分後、私は隣町の名も知らぬバス停に降り立っていた。

『まったく、妙なオモチャだこと』

掴まれた袖に張り付く小型発信器を外して地面に投げつける。
めちゃくちゃに走りここまで来たのは、追跡を誤魔化す為。
あんにゃろ、掴むふりしてちゃっかりつけやがった。


『…帰ろ』

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