あなたに興味なんて…ない、 (ページ49)

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49~MS~ ページ49

MSside

病室のドアをノックしようとすると、部屋からAの声が聞こえてきた。

「付き合ってたことはあるよ。ちょっと前までだけど、もう別れて3年経つのかな。」

その言葉が聞こえた瞬間何を話そうとしているのかはすぐにわかった。
ジミンが俺とAの様子から何かを感じて尋ねたのだろうとも容易に予想できた。

ノック直前の手を思わず引いて、俺は病室の前にしゃがみ込み部屋の中の声に耳をすませた。

あの時間は本当に幸せ以外の何者でもなかった。
あの日までは…、あれさえなければ今も俺はAの隣にいたのだろうか。

あの5年間を話すAの声もどこか多幸感を感じれる声色だった。
A間違えなく幸せを感じてくれていた。
そう思うと目頭が熱くなってきた。

「じゃあ、私は仕事に戻るからまた何かあったら呼んでね。」

そういうAの声に、詰まった息を吐き出しながら立ち上がる。
ドアから一歩離れたところに立ってドアが開くのを待っていると、

「っ！！！」

案の定Aは俺に思い切り衝突してきた。
驚き、声をあげそうになるAの腕を引っ張りジミンに気づかれないように口を塞いだ。

「プハッ！ソンベ、急にどうしたんですか？！」

手を離すとAは少し大きな声で話す。
その口元に人差し指を立てると、すっと口をすぼめ真っ直ぐに俺を見つめる。

『急にどうしたも何も、Aが昔の話始めたときから部屋の前にいたわ。入るに入れなかったんだよ。』

明らかにもう看護師と患者の距離感を失っている2人の関係に嫌悪感がわいたが、Aの前ではそれは出さない。
いつも通りの笑顔を心がけ答える。

「んで、再編したリハビリの日程下から送られたから、届けたかっただけだったんだ。とりあえず概ね1週間の予定。」

『あっ、ありがとう。』

「んじゃ、俺外来行かなきゃならないから行くわ。じゃあな。」

言いたいことは数えきれないほどある。
でも今日はやめておこう。
明日ゆっくり向き合うしかない。
これ以上Aの幸せを奪わないためにも、奪わせないためにも。

そう心に言い聞かせ、軽くAの頭を撫で、Aに呆然と見送られながら笑顔でエレベーターに乗り込む。
ドアが閉まった瞬間、負の感情の全てが体外に流れ出る感覚を覚え、鏡を見ると自分でも信じられない程の表情にもはや笑いがもれた。