あなたに興味なんて…ない、 (ページ44)

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44~MS~ ページ44

MSside

こうして俺たちの5年間は終わりを迎えた。

あれから3年経った今、Aの幸せに影を落とそうとしている人間がいる。

あの世界的に大人気のアイドル、BTSのジミンがうちの病院に入院してきた。
芸能人が入院してきたことは過去にも何度かあった。
しかし、情報漏洩の観点からも当然情報規制と関わる人間を最小限に抑える必要があり、
担当看護師を1人付けると、看護部長が決定を下した。

そのことに関しては担当医師としても疑問の余地はなく、反対の必要性もなかった。
しかし、その担当看護師としてAをあげられた瞬間嫌な予感しか感じなかった。

『なんでAなんです？整形の師長とかの方が適任なのでは？』

部長の言葉に思わず眉をしかめてしまう程度には、この決定に不安があった。

「あそこの師長、ジミンペンなのよ。」

看護部長はひどく情報通で、いったいどこからそんな情報を得るのかと思うぐらい、
この病院に勤めるほとんどの看護師について知らないことはないと言っても過言ではない人であった。

「立場的にも公私混同はしないでしょうけど、Aさんはそういったアイドルとかに興味関心がないのでしょう？リスクを最小限に減らすためにも、これ以上の適任はいないわ。」

なぜ寄りにもよってAなのか。

最悪の決定でしかなかった。
しかし、上層部で既に決定したこと、今更ただの一医師である俺にはどう覆すこともできないのだろう。

せめて、Aの今の幸せが脅かされるようなことがないよう、見守るしか今の俺にできることはないのだろう。

もはや担当医師になれたことだけでも上層部に感謝しなければだな。