あなたに興味なんて…ない、 (ページ43)

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43~MS~ ページ43

MSside

ナースステーションに戻り、血圧計や体温計、残ったアルコール綿などを片付け、師長にAが目覚めたことと、このまま帰宅させるとの旨を伝え、医局に戻った。

医局にいた他の医師に一声かけ、更衣室に向かった。

その道中、ずっと脳内は同じことの行ったり来たりで、やっとのところで心を決めた。

Aを車に乗せ、行きつけのカフェに少し早めのランチに向かった。
その道中、Aが眠っていた数日の話と当たり障りのない会話をしながら過した。

ある程度食事を済ませ、コーヒーを飲みながら少し落ち着いたところでやっとの思いで口を開いた。

『本当にすまなかった。』

謝ることしかできない自分に腹がたった。
Aは何を言っているのかと、問いかけるような表情で少し首を傾げた。

『一番近くにいたのに、一番近くで支えなきゃ行けなかったはずなのに、俺は何もできなかった。何も気づいてやれなかった。』

そこでAも俺が言わんとしていることがわかったのか、納得したような表情を見せた。
でも、その表情に少し影が落ちるのがわかって、また心が痛んだ。

「気にしないで、お互いに仕事が仕事だもん。生活リズムを合わせづらいのは今に始まった話じゃないでしょ？」

俺は年下の彼女になんてことを言わせているのだろうか、本当に自分が情けなかった。

「ホント、なんでAはこんなに優しいんだ？思わず頼りたくなっちまうよ。」

「頼ってくれていいんだよ？私だってソンベにいろいろ助けられてる。ただそこにいてくれるだけで十分だもん。」

Aはそう言って微笑んだ。

『うん。Aが必要としてくれる限り、俺はそばにいるよ。だから……』

最後の1言を言うのに詰まってしまった。でも、もう決めたんだ。
俺はAの目を真っ直ぐに見つめた。

『別れよう。……嫌いになったわけじゃないんだ。ただAには俺よりもちゃんと支えてくれる人と幸せになって欲しい。Aが大事だからこそ強くそう思う。』

Aは俺の言葉に驚くわけでも、傷ついた表情を見せるでもなく、1つ頷いた。

『これからもっと歳を重ねれば、もっと仕事が忙しくなるだろうし、やることも多くなる。そうすれば今回どころじゃない事態が起こるかもしれない。それは絶対にイヤなんだ。』

「うん、ありがとう。私もそれがいい。」

その日から、俺はAが本当に幸せになるその日まではずっとそばにいると心に決めた。