あなたに興味なんて…ない、 (ページ12)

今日:11 hit、昨日:9 hit、合計:257,660 hit

12 ページ12

『失礼します。』

メンバーの皆さんをジミンさんの部屋に通すと、ジミンさんは今までに見たことのない笑顔を見せた。

こんなふうに笑うのだなぁと思ったけど、その笑顔はどこか寂しそうにも見えた。

「ジミナー！！」

病室に入って、真っ先にジミンさんの元に駆け出したのは、Vさんだった。

抱きつきそうな勢いだったけど、直前で突然急ブレーキをした。

「ごめん、危なかった。」

Vさんは、苦笑い気味にジミンさんに謝った。

今、怪我をしているジミンさんには、少しの衝撃でも危険になりかねない。
それに気が付いて、急ブレーキしたようだった。

「大丈夫だよ。」

1週間、絶対安静だと言われているジミンさんができる最大の動きは、座ることだけだった。

それも、補助具を着けてやっとのことで、基本的には寝た状態で過ごしている。

『では、私は一旦これで失礼しますね。何かあればナースコールを押してください。すぐに参ります。』

メンバー揃って話したいことはたくさんあるだろう。
7人だけでゆっくりできるように、私は病室をあとにしようと思った。

「あっ、」

でも、扉に手をかけたところでジミンさんの声が聞こえて振り返った。

『何かありましたか？』

何か必要な物でも思いついたのかと思い、そう尋ねたが、ジミンさんは何故か驚いた顔で首を横に振った。

『そうですか、何かありましたらいつでも呼んでくださいね。では、失礼します。』

部屋を出て、扉を閉めると、思わずため息が漏れた。

『ありゃ、すごいな。』

アイドルというものは、とてつもないオーラを放っているものだ。
ジミンさん1人でも、普通の人とは違うオーラを感じていたけど、全員がそろうと、興味なんかなくても、この人たちが、ただ者ではないのはよくわかるし、同じ空間にいるだけで息が詰まりそうだった。

『たまには通常業務したいな。』

ジミンさんにやっていることは、普通の患者さんと何も変わりはないけど、アイドルだと思うと、変に無駄に気を遣ってしまう。

どうせ、1時間ぐらいは、皆で話すだろうと考え、最近ずっと行けていなかった、5階のナースステーションに行くことにした。

カーディガンの中に、ナースコールの通知を報せる機器が入っていることを確認して、さっき乗ってきたエレベーターのロックを解除し、5階に向かった。