偽りの世界の中で

複雑な悲しみ ページ16

有岡side

有岡『...』

あれから、どうやって家に帰ったか覚えていない

なんせ、つい数日前まで固い絆で結ばれていた
メンバーとの関係がなし崩しになってしまった
こんな風になるのも無理ない

ただ、気がついたら家の中に居たと言う事だ

有岡『...ｸﾞｽｯ、なんで...忘れちゃったの...?』

そう問いかけてもこの部屋には俺1人しか居ない
誰かが返答してくれる訳もなく、
俺の声は虚しく白い天井に消えていった

有岡『はぁ...』

俺は今日何回目か分からないため息を吐いていた

少しでも気分を明るくする為にTVをつけた
余り喉を通らないがコンビニで買った
おにぎりを持ってきて

TVをつけると映っていたのはニュースキャスター

キャスター「...と言う事で、今シーズンは例年より
　 暑くなる見通しです
　 では、次のニュースです...』

俺はただただ流れる様に映像を見ていた
すると、TVのキャスターは驚きの記事を読み上げた

キャスター『○○市○○町の○○TV局前で起こった
　 殺人事件について、警察は容疑者の
　 有岡大貴を指名手配にする方針を
　 決定しました』

有岡『...!』

そんな...

嘘だと思いたかった
酷く長い悪夢だと思いたかった
だけど、次にTVに映し出されたのは俺の写真だった

キャスター『犯人の特徴は身長が160代後半
　 年齢は29歳
　 顔は童顔
　 黒い服に身を包んでいたという事です
　 まだ、容疑者は事件発生現場の近くに
　 いるかもしれません
　 皆さん、十分に注意を...』

俺はそこで慌ててTVを切った

有岡『なんで...なんで...!』

ここ最近同じ様な事しか言っていない様な気がする

俺はこの数分でこの世界全てが敵に思えた

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