夏、恋が始まる季節。【黒】 (ページ44)

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黄組の団に戻るとすぐに彼が少し怒った顔でやってきた。
大体なんでか分かる。
めめの事だよね。

彼氏「A。なんで目黒連れてったの。」

やっぱり。
そりぁそうか。
　
「ごめんね、心配しているような事はないよ。
これ見て？」

借り物競争の紙を見せる。
昔、めめの事が好きだったのはバレちゃうけどこれくらいなら彼は怒らないはず。

彼氏「…え？そうだったの？」

「うん、そうだよ。」

彼は安心した顔になった。
けど……

彼氏「やっぱり、目黒の事好きだったんだ。でもさ、好き"だった"だもんね。好きな人だったら俺連れてくよね。」

彼はだったを強調して言う。
なぜか声が出ない。

彼氏「ふふっ、隣座りな？」

うん。

それから少しして、この体育祭のメインとも言っていいクラス対抗リレーの時間がやってきた。
彼はもう一度応援してねと言ってから入場門の方へと向かっていった。

凄い。
青組と黄組は物凄く接戦でさっきから一位を争っている。
そして、そんな時にやってきた彼の番。
アンカーに託す大事な役。
隣には…………………めめ？
間違いない、めめだ。
めめもクラス対抗出るんだ。

あ、バトン渡った！
今の所私達黄組が優勢で一歩前に出ている。
でも、めめは圧倒的な速さを見せつけ彼を抜かした。
さらに3歩以上は離した。

『優勝は青組。2位は黄組…………』

皆が惜しかったよと集まっているのが分かる。
でも私は動けなかった。

彼氏「A？俺、結局目黒にかなわなかったけど…俺の事見ててくれた？応援してくれた？」

胸が潰れそうなほど痛い。
ごめん、ごめんなさい。

「ごめんッ」

やっと出た言葉はそれだけ。
彼は場所移動しようって私の腕を引いた。