夏、恋が始まる季節。【黒】 (ページ36)

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「はい、ど〜ぞ。」

お茶を出して、めめと対面の席に座る。

目「ありがと。」

ゴクリと一口めめがお茶を飲む。
喉仏が上下して……思わず見ちゃった。
ふとした瞬間に男女の差を見せつけられる。
カッコいいな、ほんとに。

目「それで、なんでお母さんいないの？」

「あぁ、買い物行ってるの。今日ずっと私の看病してくれてて行く暇なかったから。」

申し訳無いとは思ってる、でも…。

目「寂しくないの？」

「え？」

見透かしたような目でじっと見つめられる。

目「だから、寂しくないの？風邪引いてる時に家一人で寂しくない？」

寂しくないといったら嘘になる。
でも…

「そりゃ寂しいけど。私のわがままで引き留められないし、大丈夫だよ笑」

目「嘘。顔に大丈夫じゃないって書いてある。
……風邪の時くらい、わがまま言っていいんじゃない？どうせ、いっつも気使ってるんだろうし。家族なんだから甘えたら？」

優しく微笑まれ、ドキッとする。

目「じゃあ、俺はこれで。お茶美味しかった、ありがとう。」

めめが席を立つ。
やめて、いかないで。

目「え？」

思わず衝動的に腕を掴んでいた。

「やだ、いかないで。お母さん帰ってるまででいいから……お願い。」

震える声で必死に言う。
これがめめにとって迷惑なのは分かってる。
……やっぱり駄目？
手を離そうとした時…、

目「なんだ、ちゃんと甘えられるじゃん。」

めめがそう呟いて、俯く私の頭を撫でた。