愛されたい貴女へ【短編集】 (ページ8)

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ver.yellow ページ8

side you

『きもっ笑、皆こいつに近づかない方がいいよ。菌が移るし笑』

最近クラスでよく言われる言葉NO.1。一学期の初めから、クラスにいじめられてる子がいた。でも、その子はすごく良い子で、ずっと仲良くしていた。

しかし、気がつくとターゲットは私に変わっていたのだ。『菌』『ゴミ』『死ね』そんなこと言われるのにはもう慣れた。上靴がなくなっていたり、教科書に落書きがあった、なんてのもよくある。

慣れたとはいうものの、辛いのは辛くて。

私、悪いことしたのかなあ…

学校になんて行きたくないけど生憎今年は受験生。行きたい大学がある身としては授業を受けない訳にはいかない。

はあ………。

そうだ、センラさんに癒してもらおう。

センラさんは少し年の離れた彼氏。今日は両親も出張だし、センラさんも残業は無さそうって言ってたし、会いに行こうかな。

side snr

彼女から電話がかかってきた。内容は｢今日家に行っても良いか｣というもの。最近会えていなかったし、電話での彼女の声に元気がないのも気になっていたから快諾し、軽く部屋を片付ける。

ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ

｢ごめんね、センラさん。急で。｣

セ｢ええよ。センラも会いたかったし。ほら、上がって。｣

そう言ってやってきた彼女の目は少し腫れていて、｢ああ、なんかあったんや｣と察する。

お茶を取りに行く為ソファを立とうとしたその時、横からギュッと抱きつかれる。

セ｢どーしたん？

｢……んーん、何もない。｣

セ｢そんな訳ないやろ。分かってるで。なんかあったことぐらい。目腫れてるし元気ないし。1人で溜め込まんと、センラに教えて？｣

ポツポツと学校であったことを話しつつ一筋の涙が頬を伝う。

頭を撫でた瞬間、涙は止まらなくなり、僕のシャツに顔を埋めて声を押し殺す姿を見て、今まで気づけなかった自分にすごく苛立ちを覚えた。

セ｢…うん。そっか。ごめんな、気づけんくて。Aは、全く悪くないよ。そこは自信もって。センラは、そうやっていじめられてる子と仲良くしてあげれる優しいAが大好きやで？辛い時はいつでもおいで。できることは全力でするから。な？｣

｢……うん、私、頑張る。｣

そういった顔は涙でぐちゃぐちゃになっていたけど、頷きながら必死に笑顔を作る彼女がいた。

セ｢無理して笑うこともないけど、でも、女の子は笑ってる方が可愛いよ。いつでも味方やからね。｣

そう言ってもう一度彼女を強く、抱きしめた。