君に恋するその瞬間 (ページ14)

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①④ ページ14

樹side

Aでは、カッコ悪いも、ダサいも気にしないで
一番素の自分でいられる。

そう思っていたのは、随分前からのはずなのに…

抱きしめられて…

励まされてて…

泣きべそかいて…

挙げ句の果てには、キスまでされて…。

ん？キスって…

マジかよ…

くちびるが触れたその一瞬に
俺の頭の中はこれだけの事が駆け巡った。

でも、その感触が消えた瞬間…

全部吹っ飛んで…ただ、ただ…

彼女を離したくなかった。

離れていくAをもう一度引き寄せて
今度は俺からキスをする。

軽く触れるだけのキス…

柄にもなく緊張してる。

くちびるが離れて、目が合えば…

なんか、ちょっと気まずい…

その空気に耐えられず、

樹『ふ、布団敷いてくる。』

動揺していた。

俺は…今まで抑えいた気持ちが
溢れてしまったことに…。

「樹…？」

戻って来ない俺を見に、寝室に彼女が来た。

めっちゃ余裕じゃん。

Aの気持ちはどうなのか…全然わからない。

「そんな顔しないでよ。
大丈夫だから…お酒の勢いだから…
寝て起きたら忘れてるよ。」

壁に寄りかかりながら、寂しく笑ってそう言った。

樹『ぃや…その…忘れなくていいから。
むしろ、忘れんな！！

もう他の奴のとこ行く必要もねぇだろ？！』

「えっと…それは、どう…ゆう意味？」

樹『好きだから…。』

Aは驚いてフリーズしてる。

樹『A？大丈夫？』

「びっくりして…思考停止してた。」

俺より小さいAは自然と上目遣いになって
こっちを見てくる。

そして…

俺の胸におでこをつけた。

「本気に…しちゃうよ？
もう…抑えられなくなるよ？」

樹『本気…だから。』

「好きだよ…樹…。

ヘへっ…やっと言えた。」

そっと彼女を自分の腕の中へ包み込んだ。

そして…

ドラマみたいなキスをした。