・ ページ10
家へ着くと、マネージャーからの連絡が入る
直ぐに家を飛び出して、港へと走る
「ふぅ…………」
船に乗る前に息を整える
都会の方へと船が続いてやがて1つの港の前で止まる
ある駅まで走る、とにかく走る
車が見えて、そこで止まる
「急に撮影が今日になっちゃって」
そう、急いできた理由はこれだ
撮影が急遽入ってきたのだ
車に乗って、撮影現場まで向かう
そこには既に着いているメンバー
「お、やっほー」
「やっほ」
また、また俺は素っ気ない態度をとってしまう
笑顔になれなくて、元気にもなれない
あの笑顔と、あの声に心をまた奪われてしまっていた
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
春野side
『阿部くん………ま、また同じクラスですね……』
『そうだね、よろしく!また1年間、クラスメイトとして友達として』
小学校5年生の頃
まだ全然慣れなかった、『人と話すこと』
ましては、今でも苦手
それでも阿部くんと話したいと思えたのは、
少なからず『好き』っていう感情があったから
朝一に学校に来ると、その次にくるのは必ず阿部くんだった
毎年毎年同じ言葉を2人で言い合ってた
そして、毎年毎年胸を締め付けられてた
『クラスメイト』っていう言葉に、『友達』っていう言葉に……
『ごめん!春ちゃん、教科書忘れたんだよね……見せてくれない?』
そう言われて、もっと阿部くんとの距離が近くなることも多々あった
心臓の音が聞こえてしまうのではないかと、
いつもいつも考えていて授業の内容なんて頭に入っていなかった
『大丈夫、春ちゃんはなんにも悪くない』
そう言って、頭を何度も撫でてくれた
背中を摩ってくれた、
笑顔にしてくれた、
味方になってくれた、
何があっても、私を応援してくれた
『笑顔だよ!え、が、お!』
そういった後は、お手本を見せるかのように阿部くんから笑顔になってた
それから、頑張って笑顔を顔に貼り付けて
貼り付けてた笑顔も、直ぐに阿部くんにバレて
緊張をほぐすような事をやってくれてた
『す、凄い』
中学生に上がっても、人の前で発表とか話したりすることは苦手なままだった
クラス発表の時期、誰もいない教室でバク転を見せてくれた
気がついた時にはもう届かない存在になってた
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:wwssseee | 作成日時:2019年6月3日 22時