腐男子です。

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TH side




今日はAのこと考えて、ずっとモヤモヤしてた。

だからAに会ってすっきりしたかったのに。


今日に限って来ないのなんなの。

昨日も会ったけどさあ、いつ会ったとか関係ないじゃん俺ら。


連絡したのに既読つかない。

Aのばーか。





「タニやー、よしよしして」





そうタナに言っても、自分がなでられると思ってるのか、

目をキラキラさせてお座りしてる。





「かぁいいなあ、お前…」





思わず抱きあげてモフモフのお腹に顔を埋めれば、

なんか嫌だったのか脚で蹴られた。

痛い。


蹴られて痛む鼻を押さえてたら、玄関のチャイムが鳴った。

すんごい鳴ってる。


ピピピピピピピンポーン


ぐらい鳴ってる。





「タナ、これは絶対Aだ！」





さっきまで下がってたテンションが上がる。

玄関までダッシュすると、後ろをぴょこぴょこ着いてくるタナ。

タナ嬉しい？俺も嬉しい。


ガチャ、って鍵を開けるとやっぱり、





『テテぇ〜〜！』


「A〜〜！」





ガバ、って抱きついてきたA。

会いたかったから俺もAの背中に手をまわしたんだけど。



ふわ、ってAから香る、嗅ぎなれない匂い。

女物の、香水の匂い。





「…くさい」


『んぁ？ああ、ごめん。さっきまでソアさんといたからな…』





ソアさん

Aの口から出た、知らない女の名前。

こんなに服に匂いが移るくらい、何してたの？


昼間のモヤモヤが復活する。





『タナ、お詫びの品だ。受け取ってくれ』





ガサゴソ袋から取り出したのは、タナのおやつ。

なんでだよ。


ほんとソアさんって誰？

彼女？

嫌なんだけど！





「…今日は俺も飲む」


『えマジ？明日大丈夫？』


「飲まないとおかしくなりそうなの！」


『俺も！』





Aが机に並べたお酒たちは、アルコールが弱くはないやつばっかり。

多分俺が飲んだら一瞬で潰れるやつ。


でも今日はいいでしょ！

なんかモヤモヤイライラムカムカするんだもん！

Aのせいだ！





『テテ〜、今日はなんか収穫あった？』


「収穫ってなにさ」


『好きな人見つけた？あ、ジミンさんだっけ』





Aは呑気だな。

好きな人なんか、そんなの、





「今日はずっとAのこと考えてた」


『えー？何それ…って言っても俺も考えてたかなあ』


「俺のこと？」


『うん』





そんな一言で嬉しくなるくらい、









俺はAのことが好きみたい。

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