私の方が可愛いはず。【あんスタ】 (ページ5)

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その48 過ぎたはずページ5

結び終わった靴紐を眺めて、鞄を肩にかける
それから勢いよく立ち上がって、月永先輩に視線をよこす

『さっさと帰りましょー。なんか話すことでもあるんですか？』

「……ああ！ありがとう！」

別にお礼言われることなんてひとつもしてないけど。
もしかして私の事めちゃくちゃ気難しい女だと思ってんのか

なんの話、されるんだろ

月永先輩がドタドタとものすごい音を立てながら帰る準備をするのを聞きながら、数分後の未来について考える

電車での話？昔の呼び方をしたのは失敗だったかな。
私としては今の距離感がちょうどいいと思っているから過去の話を掘り返したくない

電車で見た夢のせいでいらないことを思い出したけど、あの約束は子供同士の口約束でしかない。今更果たせるものでもないし……

「おーい、Aー？」

ぐるぐると考えていると月永先輩が目の前に立っていた

まぁ、なるようにしかならないか

＿＿＿＿＿＿＿

「6月にさ、おまえらが編入してきただろ？あのときさ、おれ、タイムリミットだったんだって思ったんだ」

『た、たいむりみっと……なんの話ですか』

『いいから、聞いてくれ！』

レオside

プロデュース科に編入生が2人入るらしい。校内は噂で持ち切りだった

プロデュース科が新設される前にテストケースとして転校してきたあんずが来て間もないのにもう新しいヤツが入ってくるのか

そんなことを考えていたらなんとなく新しいインスピレーションが沸いてきたので、素早く空き教室に入ってこの天才的な考えを形に残さなければならないと思い、壁に楽譜をつらつらと書いていく

夢中になって楽譜を書いていると、後ろから声が聞こえた

「……あの、これ、壁ですよ」

無視して書き続ける

「油性ペンで書いてるんですか？頭おかしいですね。今ルーズリーフ持ってるんであげますから一旦手を止めて貰えますか？」

『……あー！もう！うるさーーーーい！！！！』

饒舌に喋る女の声に痺れを切らして手を止めて、うるさい女の顔を見た

見たことある顔。それもずっと昔から。

弱っちくて、すぐ泣いて縋る、あの女の子

顔を見た瞬間、あの日の約束を思い出した

ああ、もうタイムリミットは過ぎていたんだ

「……なんですか、じろじろと」

『インスピレーションが沸いてきた！！』

そんな後悔とは裏腹に、相変わらずおまえはおれのインスピレーションを沸き立たせる