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これで全ては終わった。
標的は死んだ。彼は助かった。
そしてあまりにも偽善的か、その場で少しの間黙祷をしたのだった。
…分かっている。私にはこれをする権利は無い。
私もいずれこんな風に死ぬのだろう。
だって私はマフィアだから。当然、報いがなくてはならない。
それが近いか遠いかの違いできっと、罰は必ずやってくる。
だが今はこんなこと考えている暇は無いと、暗い思いを瞬き一つでかき消して振り向いた。
『お疲れ様でした。これにて任務は完了で…あれ、中也さん…』
「あー、汚濁を使うとこうなってしまうのだよねぇ。本当は置いていきたいけど…」
中也さんはどうやら気を失っているようだ。
目立った怪我は無いことに、ひどく安堵した。
流石に私一人じゃ彼を連れて帰ることは出来ないので、こうなったら太宰さんに頼むしか無い。
『すみません、太宰さん…運ぶの手伝って貰って良いですか…？流石に私だけでは…他の者にも今この状況は説明しにくいので』
「うーん、君のような可憐なお嬢さんに云われては断れないね。仕方無い。心底嫌だけど手伝うよ。
…嗚呼、それとAちゃん」
『はい、何でしょうか』
真剣な眼差しで私を見詰めた。
何だろう、と心の中で焦る。
「……君はもう異能を絶対に使ってはいけない。代償として君の肉体は内側から壊れていくんだ。
過去に戻ろうとしても、君は其の儘死ぬ。もし奇跡的に戻れたとしても、今のように立つことさえ出来ないだろう」
『……はい。分かっては、いるんです』
「残酷なことを云ってしまうけれど。
時には諦める強さが必要なんだ。…見捨てる、という選択も出来るようにし給え。
…君は優しいね」
目を細めて微笑んだ。
囁くような声は優しくて柔らかい。
嗚呼、この人もこんな顔をするんだと失礼だが思ってしまった。
…私には、諦める強さが無い。
太宰治と云う人物に云われ、更めてそれを知らされた。
私と共に闘ってくれた仲間も見捨てられずに世界を巻き戻したのも、結局は私の弱さなのだろう。優しさと弱さは、違うのだ。
「暫くは絶対安静だよ」
『…はい。ありがとうございます、太宰さん』
彼には絶大な恩が出来た。
私はお辞儀をして礼を云った。
太宰さんは目を微かに見開いたあと、今度は何か閃いたような表情を浮かべた。
「どういたしまして。ねえ君、心中でもどう？」
『お断りですっ』
異能無効化の彼とでは、それこそ本当の意味で心中になってしまう…。
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ユリア(プロフ) - すごくいいお話でした！主人公と相手のそれぞれの気持ちが書かれた構成があまりないので、読んでいてとても新鮮でした！ありがとうございます。 (2023年2月13日 21時) (
レス) @page48 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
篠ノ井(プロフ) - とても良いお話でした‼︎与謝野先生と組んだら最強の異能だなと、考えちゃいました。素敵な作品に出逢えて良かったです。ありがとうございました。。 (2022年1月28日 3時) (レス) @page50 id: 074aca8682 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ふたりともとっても優しくて、お互いのことをちゃんと想い合っていて本当に涙なしには読めないくらい感動しました。ふたりの未来に幸せが訪れますように！！このような素敵な作品に出逢えてとても良かったです！！素敵な作品をありがとうございました。 (2021年12月13日 13時) (レス) @page50 id: 5d3deb0d2a (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - 一樺さん» わー！嬉しいです！読んでくださりありがとうございましたー！ (2020年6月30日 16時) (レス) id: 133caaaf3b (このIDを非表示/違反報告)
一樺(プロフ) - あぁ…よかった…素晴らしいお話でした。もう…すごく泣いちゃって…いいお話をありがとうございました！！ (2020年6月21日 20時) (レス) id: e734b1c435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お湯 | 作成日時：2019年3月10日 20時
