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「怖。元気の良いお嬢サンは割と嫌いじゃないけどさ。
でも、立ち去るなんてことは出来ないんだよね。だってボク等、キミ達の情報を狙ってやってきたんだから」
男は笑う、嗤う。
「別に、キミを殺しに来たって訳じゃないんだよ?だからさ、その、ほら。
情報だけ、云って貰えると嬉しいなってだけで」
『云う訳ないでしょう…っ。早く此処から…!』
「そっかそっか。話し合いで駄目ならさ、もう、戦うしかなくなるんだよね、こういう時。消去法で」
『───っ!』
───発砲した。
耳を劈くような銃声が響く。弾丸は真っ直ぐに空気を切り裂き、男の脳を撃ち抜く───筈だった。
だが然し、男は死んでいるどころか、傷一つ付いていない。
いや───まず、弾丸が消えている!
「……驚いた。…態と外したの?お嬢サン。…いや。」
撃つ勇気が、出なかった?」
『……ぁ、』
発砲はしたものの───私は、その頭を撃てなかった。殺せなかった。それをする、勇気が無かった。
無意識に、私は軌道を横へとずらしていた。
だが、その弾丸は何処へ行った?
『……異能、力…!』
「そう。ちょっと乱暴で悪食だから、君の弾丸も喰ったみたい」
───蛇、だった。
大量の、蛇だった。
真っ黒の色をした蛇は、男の周りをとぐろを巻いていた。
ぐるぐる、ぐるぐると。
闇を掻き混ぜるように。大量の蛇が、数え切れない程に地に顕現していく。
「黒蛇。これがボクの異能力なんだ。咬まれると毒が回って死ぬから気を付けて」
舌なめずりをし、床を這いずり回る。
一匹一匹の大きさはそこまで大きくないものの、細長いソレは床を埋め尽くしてしまいそうな程に増えていく。
そして───私の元へとやってくる!
『異能力───「雪国」!』
声高に吠えた途端、自分の周りに異能力が展開される。
空気がひび割れる音が響き、空中に現れた氷塊が蛇を串刺しにしていく。その数は十、すぐに二十を超えた。氷塊を生み出すに従って、頬を撫でる空気の温度も低下する。
先の尖った形に凍らせたモノは小さな氷柱のようで、地面に物凄い勢いで降らせてはけたたましい音を立てて割れる。
太宰さんと何度も練習してきた技だ。
攻撃の当たった蛇は消滅はするものの、あまりにも数が多い。
仕留め切れなかった蛇が足元へ来た途端、咄嗟に後ろに大きく飛んだ。
『っはっ!しっ!やぁ──っ!』
氷柱を宙に作り、降らせながら私は後ろへ、飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。
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お湯(プロフ) - 桜月さん» わわ、ありがとうございます…!1話から…!とても嬉しく思います!たくさん感想をくださりとても幸福です。こちらこそありがとうございました……!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - 櫻宮麗子さん» これからの彼女たちに幸福があるといいですね…!読んでくださりありがとうございました〜!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
桜月 - 完結おめでとうございます!1話からとても素敵な作品だなと読ませて頂きました!最終回の感動と終わっちゃうんだなぁという寂しさが…!お疲れ様でした!もし次回作などあれば、楽しみにしてます!ありがとうございました!(*^^*)長文失礼しましたっ! (2019年9月9日 16時) (レス) id: 0b13d6cbae (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮麗子(プロフ) - 最終回、おめでとうございます!救われた彼女がこれからどうなっていくのかが気になります・・・!また彼女たちに会えることを楽しみにしていますね、本当にお疲れ様でした! (2019年9月9日 8時) (レス) id: 3300853b00 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - ゆきんこさん» ありがとうございます…!更新が遅れて申し訳ありませんが、どうか完結までお付き合いいただけると幸いです(*^^*)更新精一杯頑張ります…! (2019年8月27日 22時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お湯 | 作成日時:2019年6月2日 10時