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『今へっぽこって云いました!?貴方も閉じ込められたいんですか!?』
「君になら本望だよ」
『〜〜〜っ…じゃなくて!』
大きく咳払いをしてから男の方に向き直る。
男はこの状況が信じられないのか顔を青くして氷に触れている。酔いは徐々に覚めてきるようだった。
『良いですか!こんなことしてはいけないんです!酔っていたとはいえ、初対面の人に急に殴り掛かるなど…』
「悪かった…!悪かったから、早く外に、」
『いーえ、まだ出してあげません。貴方がしっかり反省するまでですっ!』
男は更に顔を青くして俯いた。黙り込んでから漸く、何でこんなことに、と自分の行動を悔いているようだった。
その顔には確かに後悔と反省が滲んでいる。
腰に手を当て、私はお説教の続きだ。
『こんなこと、二度としないように!またこんなことをしたら、私がぎったんぎったんにしちゃいますから』
「ぎったんぎったん。…何処で覚えてくるの?」
『太宰さんは黙っててください。
良いですか?幸い、貴方もまだお若いようなので。やり直すチャンスはいくらでもあるんですよ。私は警察に通報する気はありませんが、もし他の人だったら大変なことになりますよ。
急に殴り掛かるなんて、絶対にやってはいけませんっ』
「…御免なさい…」
『心の底から反省してください。二度とこのようなことしないように!お酒も程々に、です!』
人差し指を突き付けると、男は申し訳なさそうに深々と頭を下げた。どうやら本当に反省しているようだ。
よろしい、と背を向けて歩き出そうとする。だが最後に振り向いた。
『そしてくれぐれも氷に閉じ込められたなんて絶対他言しないように!したら貴方の人生は真っ暗だと思ってください』
男は大きく頷いた。
それを確認してからお説教タイムは終了だ。
太宰さんに異能を解くよう促し、漸くそこであの人は解放された。
身を翻して路地裏を出て歩き出す。太宰さんは私の隣で何やらにこにこ笑っている。
『にしても如何して太宰さん、あんな所に?』
「いーや?行ったら君に会える気がしたから」
『……莫迦…』
嗚呼もう、この人の云うことは全部調子を狂わせる。
「えーっと、お昼ぶりだね?非番の子まで呼び出すなんて特務課も余程追われてると見た」
『過労で倒れた人もいるくらいですしね。…まあおかげで明日は遅番になったんですけど』
「そうなのかい?もうこんな時間で危ないし送っていくよ」
『あ、ありがとうございます…』
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お湯(プロフ) - 桜月さん» わわ、ありがとうございます…!1話から…!とても嬉しく思います!たくさん感想をくださりとても幸福です。こちらこそありがとうございました……!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - 櫻宮麗子さん» これからの彼女たちに幸福があるといいですね…!読んでくださりありがとうございました〜!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
桜月 - 完結おめでとうございます!1話からとても素敵な作品だなと読ませて頂きました!最終回の感動と終わっちゃうんだなぁという寂しさが…!お疲れ様でした!もし次回作などあれば、楽しみにしてます!ありがとうございました!(*^^*)長文失礼しましたっ! (2019年9月9日 16時) (レス) id: 0b13d6cbae (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮麗子(プロフ) - 最終回、おめでとうございます!救われた彼女がこれからどうなっていくのかが気になります・・・!また彼女たちに会えることを楽しみにしていますね、本当にお疲れ様でした! (2019年9月9日 8時) (レス) id: 3300853b00 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - ゆきんこさん» ありがとうございます…!更新が遅れて申し訳ありませんが、どうか完結までお付き合いいただけると幸いです(*^^*)更新精一杯頑張ります…! (2019年8月27日 22時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お湯 | 作成日時:2019年6月2日 10時