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「というか、君は日頃どれだけ気を張り詰めているか分かったよ。成程、道理で時々糸が切れる訳だ」
『嗚呼もう……恥ずかしいから忘れてください!』
思い出したくない。黒歴史だ。
気を張り詰めているのは───まあ、異能特務課という大きな仕事に就いている以上仕方あるまい。
料理も完成し、盛り付けてテーブルに運んでいく。
並べるのは厚く切って焼いたトースト。ふわふわのオムレツ。カリカリに焼いたベーコン。トマトのサラダも。それらは大きなお皿に全てのせられている。
そして側には野菜のスープ。デザートには一口サイズにカットされた桃とオレンジまでつけた。
本当は一人のときは簡素に済ませてしまう朝食だけど、誰かの為に作るとなると話は別だ。ついつい張り切りすぎてしまったけれど。
『ほら出来ましたよ。どうぞ食べやがれください』
「わあ美味しそう。頂きます」
向かいに座り、私もトーストを一口食む。
「うん。美味しい」
『それは良かったです』
日頃全然食べない彼だから、こういう時くらいもっと食べて欲しい。私は心配なのだ。彼は自分のことに関しては適当だから。
…もっと自分を大切にして欲しい。
「このあとは如何するんだい?何かしたいことは?」
『え、貴方が考えてい良いんですよ…?』
「君がしたいことをしたいんだ。…君も何時も頑張って疲れてるみたいだし」
『あ、ありがとうございます…』
完全に甘やかされている…。
* * *
食事の片付けも終わり、近くのコンビニ袋の中身を机に広げていく。
衣服も着替えてラフな格好だ。
袋から出したのは沢山のお菓子。
チョコ、クッキー、スナック、ポテチ、ポップコーン。
「これはまた随分と買ったねぇ」
『ふふふ…これぞストレス解消って感じがします』
丁寧に袋を開けながらお皿に盛り付けていく。朝食を食べたばかりだがお菓子は別腹。
今度は台所へ行き、飲み物を用意する。太宰さんにはブラック珈琲を。私はミルクをたっぷり入れた紅茶を。
そしてカーテンを閉じて、アロマキャンドルに火をつける。
最後にテレビの電源を入れれば────
『よしっ出来た』
「……ホラー映画?」
『はい。友人に面白いからと押し付けられたんです。一人では見る勇気がなくて……だから貴方と、』
「そういうことね。それは面白そうだ」
白いソファ、彼の隣に座ると、腕をぐいと引っ張られた。「君は此方だよ」、なんて言葉と共に彼の脚の間に座らされる。
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お湯(プロフ) - 桜月さん» わわ、ありがとうございます…!1話から…!とても嬉しく思います!たくさん感想をくださりとても幸福です。こちらこそありがとうございました……!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - 櫻宮麗子さん» これからの彼女たちに幸福があるといいですね…!読んでくださりありがとうございました〜!! (2019年9月9日 17時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
桜月 - 完結おめでとうございます!1話からとても素敵な作品だなと読ませて頂きました!最終回の感動と終わっちゃうんだなぁという寂しさが…!お疲れ様でした!もし次回作などあれば、楽しみにしてます!ありがとうございました!(*^^*)長文失礼しましたっ! (2019年9月9日 16時) (レス) id: 0b13d6cbae (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮麗子(プロフ) - 最終回、おめでとうございます!救われた彼女がこれからどうなっていくのかが気になります・・・!また彼女たちに会えることを楽しみにしていますね、本当にお疲れ様でした! (2019年9月9日 8時) (レス) id: 3300853b00 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - ゆきんこさん» ありがとうございます…!更新が遅れて申し訳ありませんが、どうか完結までお付き合いいただけると幸いです(*^^*)更新精一杯頑張ります…! (2019年8月27日 22時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お湯 | 作成日時:2019年6月2日 10時