やり返す ページ6
朝の騒ぎは嘘だったかの様に、今はただ森閑としていた。
それもその筈、現在探偵社に居るのは太宰さんと私だけなのだから。
乱歩さんは事件を解決しに昨日から東北へ、数十分前には敦くんと鏡花ちゃん、谷崎くんも任務へ行った。
国木田さんは、
「今日の予定には大事な用事がある」
とだけ云って出て行ってしまったし、与謝野女医も買い出しで留守だ。
よって、太宰さんと二人きりの状態だ。あと猫。
だからと云って何かが変わる訳でもなく、私は何時も通り仕事をしているのだった。
『太宰さん、此の資料纏め終わ――』
云い乍ら振り向いたが、私の上司はソファで熟睡中。
何時もなら叩き起す所だが、
…こうして見ると矢っ張り無駄に整った顔立ちしてるなあ、なんて思ってしまった。
睫毛も長くて、女の子みたいだ―――…
その時ふと、なんとなく太宰さんに触れてみたくなった。
深い意味はない。本当になんとなく、だ。
強いて云うとすれば、矢張り猫みたいだと思ったせいだろうか。
足音を立てずに近付き、ゆっくりと太宰さんの髪に手を伸ばしてみる。
私の上司はそうとも知らず、規則の良い呼吸を繰り返している。
近付けた指はゆっくりと、そのボサボサの蓬髪を梳く。
『…凄い、思ったよりもふわふわしてる…』
思わず、小さな独り言が零れた。
そして、もう一回だけ触れようとしたら＿＿＿＿
「上司に手を出してる悪い部下は、何処の誰かな？」
『〜〜〜っ！？』
声にならない音が喉から出た。
寝ていた筈の太宰さんは目を覚まし、私の腕を掴んでいた。
グルグルと頭の中が回る、回る。
『い、いつから起きて…！？』
「君が私を呼んだ時」
『最初からじゃないですか！！』
嗚呼、真逆こんな事になるなんて。
想定外の状況に、冷や汗が背中を蔦う。
少し前の自分を恨んだ。
さあ、之から一体どう弁明しようかと考えても――
「ねぇ」
『は、は…い』
「理由なんて聞かないけど――寝ている私を襲おうなんていい度胸じゃないか。ねえ？」
『ご、語弊があ…』
その続きの"る"の言葉は云えなかった。
何故なら、太宰さんは私の腕を掴んだまま、ソファの肘掛けに私の身体を押し付けてきたからだ。
『だ、ざい、さ』
「同じ事、してあげるけれど？」
怪しく笑い、右手を私の腰に回してきた。
太宰さんの顔が近い。
あいていた方の太宰さんの左手は、私の髪をゆっくりと梳いていく。
私がしたのと、同じ様に――
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お湯(プロフ) - のりばやしさん» またコメントありがとうございます…！感動してくださったならなによりです！新作も頑張ります(*´｀*) (2018年8月9日 19時) (
レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - もう一度失礼します！！完結おめでとうございます！！めちゃくちゃ感動しました！！話の終わらせ方が素晴らしい！！新作待ってます！ (2018年8月9日 18時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - のりばやしさん» そう言ってくださり嬉しいです！ありがとうございます〜！！ (2018年5月24日 18時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 話の展開と語彙力に心を動かされます。更新頑張ってください！！(*^ω^*) (2018年5月23日 19時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - すばるさん» 返信遅くなって申し訳ございません…！！ありがとうございます！！可愛い太宰さん、いいですよね…！(*´▽｀*) (2018年2月23日 20時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お湯 | 作成日時：2017年10月9日 18時
