遅刻の原因 ページ5
「くぉら二人とも!十二分三十二秒の遅刻だぞ!!」
『す、すいません…』
「やぁおっはよー国木田くん」
矢張り予想通りに国木田さんの怒声が飛んできたが、相変わらず太宰さんはそんなの気にしないとばかりにニコニコと笑っていた。
あの後、当然猫を見捨てる事など出来ず、結局段ボール箱ごと抱えて持ってきたのだった。
にゃあ、という鳴き声で気付いたのか、国木田さんは持っていた箱に目を移す。
「…な、猫だと…!?」
『道端に捨てられていたので可哀想でつい…それで遅れちゃいました…』
「もっと早く云わんか!でも如何するんだ。社では飼えんぞ」
『で、ですよね…』
さて、之は困った事になった。
私は飼えないし、他にも飼えそうな人はいない。
一体如何すれば―――…
「とりあえず飼い主が現れるまでの間くらいは、面倒見てあげてもいいのではないかい?飼い主募集の貼り紙も貼ってさ」
『あ、それなら…』
「…む、社長に相談して来る」
そう云って、国木田さんは部屋を出ていった。
…社長、猫好きだからなぁ。
そんな事を考えていると、同僚の敦くん、その後を追って鏡花ちゃんが来る。
二人とも手を伸ばして頭を撫で、猫もご機嫌そうだ。
「Aさん、この猫可愛いですね」
『でしょ?太宰さんにそ___』
「敦くん、この猫の名前Aちゃんって云うのだよ」
『違う!!断じて違いますから!!』
危ない、またさっきのトラウマが蘇る所だった。あんな羞恥、二度も耐えていられるか。
因みに未だもふもふと猫を触る鏡花ちゃんは何とも嬉しそうで、見ている此方が癒された。
…鏡花ちゃんの周りにお花畑が見えるのは気の所為だろうか。
其れから数分後、国木田さんは帰って来た。
「……少しの間ならと許可を貰ったぞ。社長はつい先程急用が出来て顔を出せなくなったが、…凄く悔しそうな顔をした」
『しゃ、社長…』
社長には申し訳ないが、おかげでこの猫の安全は保障されたのだ。
国木田さんと社長に大感謝だ。
「早く見つかると良いねぇ飼い主」
『そうですね。矢張り飼い主はいないと駄目ですから』
そうでなきゃ駄目だ。
子供には親が必要な様に、ペットにも飼い主がいなくてはいけないのだから。
だが太宰さんは何を思ったか、突然と大変な発言をしてくる。
「Aちゃん飼いたいなあ」
『そういう莫迦みたいな冗談云わないで良いですから!ほら仕事!仕事しろください!』
「ちぇー」
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お湯(プロフ) - のりばやしさん» またコメントありがとうございます…!感動してくださったならなによりです!新作も頑張ります(*´`*) (2018年8月9日 19時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - もう一度失礼します!!完結おめでとうございます!!めちゃくちゃ感動しました!!話の終わらせ方が素晴らしい!!新作待ってます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - のりばやしさん» そう言ってくださり嬉しいです!ありがとうございます〜!! (2018年5月24日 18時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 話の展開と語彙力に心を動かされます。更新頑張ってください!!(*^ω^*) (2018年5月23日 19時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - すばるさん» 返信遅くなって申し訳ございません…!!ありがとうございます!!可愛い太宰さん、いいですよね…!(*´▽`*) (2018年2月23日 20時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お湯 | 作成日時:2017年10月9日 18時