検索窓
今日:7 hit、昨日:19 hit、合計:111,954 hit

一筋の光 ページ39

.


自分がこの異能力を持ったとき​──私は絶望を知った。

暴走こそはしなかったものの、一度だけ周りの物体を傷付けた事がある。あらゆるものがひび割れ、壊れ​───その日から私は自分自身が怖くて仕方なかった。
何時か、私は人を傷付けるだろう、と。

結果私は傷どころか殺人にまで至ったのだから皮肉なものだ。


自嘲しながら、言葉を繋げる。



『それでもこの手で…人を助けたかった。皆を救いたかった。だから、探偵社に入った』

『でも…実際はそうじゃない。それは自分への偽りで、全て詭弁でした。』

「…」

『こんな異能力を持つ自分でも、人を助けることが出来るのだと思いたかった。破壊力しか持たない異能でも、何時かはきっと役に立つのだと。そう、自分に証明したかった。

そしてなにより…、自分の居場所が欲しかった』



人を傷付けないようにと、私は他人から一歩引いて関わるようにしていた。
その結果、自分に与えられたのは大きな孤独だった。

まわりに人がいない。自分だけが違う世界に隔絶されている。
虚無感だけが支配する人生。

…寂しかった、のかも知れない。

そんな時だ​───武装探偵社の存在に出会ったのは。
それは私にとっての希望であり、一筋の光であった。

だから、縋った。

手を伸ばして、その光に縋りついた。

そして、現在の上司である「太宰治」に出会ったのだ。



『私が目指す正義は何処までもエゴで。私が満足したいだけのただの我儘。

…それを知っていながら知らんぷりをしていた。その事を、私を誘拐した女に指摘されて​──心の底にあった感情が、どろどろに混ざってしまったんですよね。

目を背けていたことに、無理矢理に目を合わせられて、それがどうしようもなく気持ち悪くて、それをした女がどうしようもなく憎くて。それで私は…自ら女を殺した』



…嗚呼、私は何処までも狡い人間だ。

正義とは美しい。だから私は目指したのに​──己の心は全く別の方向へ向かっていたのだ。
実際はどろどろと私欲に塗れたただのエゴ。
今となってはもう、笑える話だ。



.

迷子の貴方→←問掛け



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (280 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
408人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

お湯(プロフ) - のりばやしさん» またコメントありがとうございます…!感動してくださったならなによりです!新作も頑張ります(*´`*) (2018年8月9日 19時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - もう一度失礼します!!完結おめでとうございます!!めちゃくちゃ感動しました!!話の終わらせ方が素晴らしい!!新作待ってます! (2018年8月9日 18時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - のりばやしさん» そう言ってくださり嬉しいです!ありがとうございます〜!! (2018年5月24日 18時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 話の展開と語彙力に心を動かされます。更新頑張ってください!!(*^ω^*) (2018年5月23日 19時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - すばるさん» 返信遅くなって申し訳ございません…!!ありがとうございます!!可愛い太宰さん、いいですよね…!(*´▽`*) (2018年2月23日 20時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お湯 | 作成日時:2017年10月9日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。