問掛け ページ38
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「憎悪ってのはな、その種をいくら潰したとしても消えねェ。
殺しても殺しても、相手は変わらず憎いまま。
空いた穴は塞がらずに───」
「憎くて憎くて、何もかも憎い。晴れることの無い憎悪を抱えようとして、だが手前は抱えきれなかった」
『…っ』
「だから───溢れた憎悪を、自分に向けた」
────あの時の殺意が。憎悪が。
積もった、煮え滾る思いが。
己に、こう問い掛ける。
────この世で一番許せなかったのは、一体誰だ？
────この世で一番許せなかったのは、自分自身だ。
「お前は、自分の感情で人を殺しちまった事を恨んでんだろ？」
『…はい』
「でも、それで探偵社が救われたんならいいんじゃねぇのか」
『そんなの、只の結果論です…！』
「確かにそうかもな。でも──」
心臓の鼓動、一つ一つが重い。
私の心とは何だ。私の想いとは何だ。
知ろうとすれば知ろうとする程、遠のいていく感覚がする。
私が知らない事、それとも、貴方が知っているのですか────？
「それよりもお前は探偵社を守れた。それは、誇るべきだ」
『────…！』
「選択は他にもあったかも知れねェ。けれど、間違っちゃいなかった」
失いたく無かった。
探偵社も、太宰治という人物も、全て大切な光だったから───これは、決して嘘偽りではない。
「殺した」事だけに、焦点を当ててきた。
でもそこには「守れた」という真実もきちんと存在しているのだ。
守りたかったものを、この手で守った。
まるっきり、後悔が消えた訳じゃない。
自分への嫌悪感がなくなった訳じゃない。
きっとこの先の人生でも、何度でも自分を憎むだろう。
それでもただ確かに、自分の何かを掴めた。
己の弱さを抱えて、三島Aという人間はこれからを生きていく。
答えは手にしてある。間違いでも、正解でもなく─────
「…最後に、一つだけ。何で手前は、探偵社に入った？」
中原さんは、真っ直ぐに私を見つめている。
『…正義に、憧れていたからです』
『小さい頃、亡くなった父が警察官で───何時か私も、父の様になりたいと、そう思っていたんです。
でも、現実は残酷で───私に与えられたのは、殺人に特化した異能力でした』
「正義、ねえ…」
視線を何処か遠い所へ移し、彼は復唱する。
その瞳からは彼の感情は読み取れなかった。
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お湯(プロフ) - のりばやしさん» またコメントありがとうございます…！感動してくださったならなによりです！新作も頑張ります(*´｀*) (2018年8月9日 19時) (
レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - もう一度失礼します！！完結おめでとうございます！！めちゃくちゃ感動しました！！話の終わらせ方が素晴らしい！！新作待ってます！ (2018年8月9日 18時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - のりばやしさん» そう言ってくださり嬉しいです！ありがとうございます〜！！ (2018年5月24日 18時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
のりばやし(プロフ) - 話の展開と語彙力に心を動かされます。更新頑張ってください！！(*^ω^*) (2018年5月23日 19時) (レス) id: 450ab9bd17 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - すばるさん» 返信遅くなって申し訳ございません…！！ありがとうございます！！可愛い太宰さん、いいですよね…！(*´▽｀*) (2018年2月23日 20時) (レス) id: 2451ee7fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お湯 | 作成日時：2017年10月9日 18時
