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06頁目― ページ6
「ありがとうございます」
聞き惚れる程の綺麗な声でそう言った後、
男の人は立ち去るかと思ったが帽子を手に取ったまま、私をじっと見ている。
…気まずい。
両者何も喋らず、相手を見つめている。
自分の物を勝手に被られていたのなら嫌な気持ちになるのは分かるが、
男の人は怒りもせず、立ち去るもせず只、黙っている。
無言よりも嫌なものはない。
此処から逃げれるのなら、もういっそのこと思いっきり
だって、だって綺麗な人にずっと見つめられるのは、やはり恥ずかしさが勝つのだ!
「あの、どうかしましたか?」
内心の叫びを出さないように、男の人に呼び掛けるが
思いもよらぬ、返答が返ってきた。
「ぼくはフョードル・ドストエフスキーです。
気軽にフェーヂャと呼んで下さい。貴方の名前は?」
「え?」
え?
男性が言った事に耳を疑った。
何故か自己紹介をしたし、やはり外人さんだったか…
其れにフェーヂャってこの人の愛称だよな。
「ド、ドストさん、ですね?
私は
初対面で相手を名前で呼べる程、私は勇気がない。
陰キャではないよな、と自分に問いながら男性を見ると
何か気に障ったのか変な顔をしていた。
「…まぁいいです」
男の人は私の横に座って大きく息を吸った。
「では、ワクワク質問自己紹かーい!」」
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作者名：わたあめ信者。 | 作者ホームページ：http://wataame
作成日時：2023年1月20日 20時
