【完】君の脳。 ページ47
「全く…ほら、早く番号見てこの後デートするんでしょ。」
だけど結局自分で見に行く勇気はわかなくて、
彼に無理やり腕を引っ張られて張り出された番号を見に行ったのだ。
「あ……った………。」
0388番という、どこかで見たことのあるような受験番号は
真っ白な紙の上に、ひっそりと佇んでいた。
「あった…！！」
その番号を目に焼き付けてから横を見ると、
どこかホッとしたように微笑む彼の横顔が目に映った。
「…うん、よかった。おめでとう、よく頑張ったね。」
「嘘だぁ…本当に受かった…。」
「さぁ、どこに行きたい？君の行きたいところ、全部行こう。今日はお祝いだね。」
そうして初めてデートしたのが、つい1ヶ月ちょっと前のこと。
1年間我慢していたのを一気に解放するように、私たちは何度も二人で出かけた。
「今度はここに行こう」とか、「今日はこれを食べに行こう」とか、
彼の方からたくさん携帯にメッセージが届くから
「実は私の受験終わるの楽しみだったんじゃないの〜？」とおどけて聞いた。
そしたら「当たり前でしょ」って
あなたは笑ってそう返した。
そして今日、
王帝月ノ宮高校の入学式の帰り道、高校の敷地内にある広大なお庭のど真ん中で咲く桜の下に
あなたを見つけた。
あなたみたいな木だったから
きっとそこにいるって、すぐに分かった。
「あ、そうだ！悠馬、お誕生日おめでとう。」
「はは、ありがとう。」
「今日はお祝いだね。美味しいもの食べに行こっか！」
桜の花びらが、ひらひらと舞って目の前を彩る。
人気のない道をわざと選んで、こっそりと手を繋ぎながら歩く帰り道。
くだらないことで笑い合って、
毎日の中にありふれている、ちっぽけな何かに沢山の幸せを見つけて
私の目に映る色鮮やかな景色の中で
ずっとあなたを見つめている。
こんな幸せに巡り会えて
私は本当に、生きてて良かった。
私はあなたに
出会えてよかった。
「A、そういえば」
「なに？」
桜色の背景の上で、彼は言う。
「君は、僕の脳そのものだ。」
これは、二人だけに分かる秘密のメッセージ。
「あなたも、私の脳そのものだよ。」
そう、
「愛してる」の最上級だ。
こうして私は
_________君の、脳になった。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
