記憶 ページ30
その震えを止めるように、彼はグッと力を込めて私の手を握った。
このあたたかささえあれば
どんな孤独も寂しさも、溶かせるんじゃないかと思うほどだった。
「だから僕は、誰かが僕を待っていてくれたり、探してくれたり、生きる理由だと思ってくれることなんてずっとあり得ない話だと思っていた。だけど僕は、僕を探し、僕を待ち、僕に会いにいくと言ってくれる人を、見つけたんだ。君だ。」
刹那、風が吹く。
この空の赤い色と
あなたの髪の赤い色と
この手の温もりと力強さと
___________あれ、私
この景色を
知っている。
「僕は君がいる世界が大好きだ。」
“僕もこんな世界は大嫌いだ。”
「君が僕との約束を叶えてくれた。」
“でも僕と約束してほしい。”
「生きることを諦めないでくれた。」
“生きることを諦めないで。”
「僕も君ももう一人じゃない。」
“僕も君も一人だ。”
「でも二人なら もっと幸せだ。」
“でも僕と君なら 一人じゃないんだ。”
どこからか流れてくる記憶と声、
瞼の裏に浮かぶ誰かの影。
燃え盛る炎がまぶしい、
見たくない、
見たくない。
違う、
__________見たくない、じゃない。
私は
あなたが見たい。
瞬きもしていないのに
何故だか涙が一粒、零れ落ちた。
燃え盛る炎と
力が抜けて動かない足。
見たくない、
もう何も見たくないと
自分の死を目の前にして、私の視界は真っ暗に暗転した。
そうだ________、
私はあの時
目が見えなくなったんだ。
“君、大丈夫かい。”
だけどあなたは
座り込んだ私の前に、唐突に現れた。
“え…誰…？どこにいるの…？”
“僕はここだ。”
今と同じ
力強い声だった。
“目が…目が見えない。何も見えないの。”
“大丈夫。僕と一緒にここから出よう。”
彼は私の手を繋いで、強引に引っ張った。
“ま…待って！ベランダに妹がいるの。私はいいからあの子を助けて。あの子1人じゃ逃げられない。”
“…そうか。分かった。君の妹も必ず助ける。でも今君を救えなかったら、僕はきっと一生後悔するんだ。”
私を助けてから妹を助けるんじゃ
この人はきっと逃げ遅れてしまう。
だって、こうしている間にも
火の手はどんどんと迫ってきているから。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
