空の上へ ページ21
「388番さん。退院、おめでとう。」
それは、静かな朝だった。
「最終検査の結果だけど、脳腫瘍に関しては問題なしです。本当によく頑張ったわね。」
私はあの日、“生きる”だなんてくだらないと思いながらここに連れてこられた。
だけど今日、私は“生きたい”という思いをこの胸に抱きながらここを出る。
「もう外にタクシーが待ってるはずよ。」
今日の大崎さんは、いつもの「白色と肌色の人」ではない。
「黒と水色と肌色の人」だ。
私をロシアに連れていくため、真っ白な看護服から私服に着替えたのだろう。
日本に帰国した後は、私は視覚特別支援学校に通うことになるらしい。
視覚障害者が安全に暮らすために生活の術を学ぶ学校だ。
勉強を頑張って彼と同じ高校に入る、という夢は
残念ながら叶わないのかもしれないけど
それでも、いいんだ。
目が見えないのは苦しいし、悲しい。
でも同時に、私の大事な個性でもあるんだ。
この個性ともちゃんと上手に付き合って、そしていつか彼という人と沢山お話ができれば。そして触れられれば。
それだけで充分、私は幸せなんだ。
__________って、思わなきゃ
正直やってらんないしね。
「じゃあ、行こっか。」
移動は相変わらず、車椅子だけど。
人の力を借りなきゃ、慣れない道ではうまく進めないけど。
でも、ちゃんとあなたに近づくからさ
ちょっとそこで待っててよ。
飛行機の搭乗手続きの時、今まで使っていた病院の車椅子は折りたたんで飛行機に積み込むことになった。
空港が貸し出してくれる専用の車椅子じゃないと、飛行機の通路を通れないらしい。
諸々の手続きを済ませて飛行機に搭乗すると、離陸までの間に大崎さんはある話を聞かせてくれた。
「あのね。今からの話は、看護師じゃなくてただの一人のおばさんの独り言だと思って聞いてくれる？」
「看護師…じゃなくて？」
「えぇ。人間の脳ってね、本当に複雑で難しくて、ずっと研究されてるけどまだまだ分かっていないことがたくさんあるの。」
「そうなんですか？」
「そう。脳の仕組みは未だに多くの謎に包まれている。だから今から話すことは医学的な根拠とかないし、あくまで私の推測の話なの。だから、看護師とは思わないでっていうこと。」
そういうと、少しだけかしこまった雰囲気の中
彼女は話し出した。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
