私とあなたは ページ3
彼の腕の中で、ぎゅっと目を瞑った。
何か言わなきゃって思ったけど
とても言葉なんて出てこない。
数十秒の沈黙の後、それを破ったのは名無しくんの方だった。
「…君には完敗だよ。まさか僕を追いかけてくるだなんて、思いもしなかった。」
「だってあなたが嘘をつくから。あなたは何回でも私に優しい嘘をつくのね。」
「…ごめん。本当のことを言って君の涙を見たら、行きたくないって思っちゃうだろ。」
日が昇る。
あの日、二人で見たのと同じ朝日が
ちゃんと私たちを見守ってくれる。
「ねぇ、気づいてた？あなたと私の番号を足すとね、奇跡になるんだよ。」
「うん、気づいてたよ。君と僕が合わされば、きっとどんな奇跡も起こせるんだ。」
388番さん、389番さん。
よく、二人セットで呼ばれたね。
こんなのただの偶然だ。
占い的なことを信じるタチではないし
星座占いが当たったと思ったことも一度もない。
だけど、
388＋389＝777という数式を、
『777』という数字が意味するのは
『あなたの願いは必ず叶う』ということを
今回ばかりは信じてみたい。
私とあなたが一緒にいれば、どんな願いもきっと叶う。
二人が出会えたのはきっと奇跡。
私が生きようと思えたのも多分、奇跡。
だから、また会えるっていう奇跡だって
絶対に起こせるはずだよね。
「明日君が手術をしている頃、僕は代表として初めてフィールドに立つ。その試合、僕は絶対に勝つよ。だから君も、絶対手術に打ち勝つんだ。」
「うん。私頑張るよ。あなたも頑張ってるって思えば、いくらでも強くなれる。」
「僕もだ。勝って、僕に会いに来て。」
「必ず行く。私を待ってて。」
そして彼と、ゆびきりをした。
真っ赤な太陽が、私たちを照らしていた。
「…あ、そうだこれ。餞別。」
なんだか、走ったりしてぐしゃぐしゃになっちゃったけど。
本当は、スイカを渡したかったけど。
「っはは、君は本当に 最後まで面白いね。」
「だってあなたを笑わせたいから。」
「もう充分だ。…じゃあ、僕は行くよ。」
「うん。行ってらっしゃい。」
今度こそ、さよならだ。
…いや、さよならというのは
少し違ったかな。
「またね、スイカちゃん。」
彼は最後に、とびっきりの笑顔を私にくれた。
だから私も、とびっきりの笑顔で。
「またね！！」
お互いに、背中を向けて歩き出す。
ものすごく、しっかりとした足取りだった。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
