手紙 ページ15
カサカサという紙の擦れる音に、心なしか緊張が走る。
「スイカちゃんへ、だって。」
「…また、その名前。変ですよね。」
「いいじゃない。じゃあ、読み上げていいかな？」
「……えぇ。」
別に、内容が気になったとか
そういうわけじゃない。
ただ、大崎さんが読みたいというのなら。
…なんていうのは、あまりにも酷いこじつけだったかな。
「アジアリーグ、突破したよ。君にこのことを最初に伝えるのは僕が良かったけど、この手紙が届く頃にはもう知っているかもしれないな。」
大崎さんの読み上げる声に重なって
頭の奥の奥から 彼の声が蘇ってくる。
「君に何があったのか、僕にはまだ分からない。でもきっと、君は苦しんでいるんだね。何も力になれなくて悔しいよ。」
＿＿＿＿＿やっぱり、やめて。
そう、言いかけた。
またあの人の優しさに触れたら
私はきっとどうにかしてしまう。
私の心が、もっともっと壊れてしまう。
だってたったこれだけの言葉で
空っぽだった私の心が叫び出して
今こうして 目に涙を浮かべてしまっているんだもの。
「僕がこの手紙で伝えたいのは、前に電話で言ったことと同じことだ。君に、決勝の舞台に立つ僕を見て欲しい。」
＿＿＿＿＿だから、それは。
できないって
言ったじゃんか。
「だけどそれが難しいのなら。」
そう言って
大崎さんは言葉を詰まらせた。
その先に
どんな言葉が待っているのだろうか。
内容なんてどうだっていいと思っていたはずなのに
気づけば彼女の言葉を今か、今かと待っている自分がいた。
「難しいのなら…僕は、君の脳になりたい。」
え＿＿＿＿？
「僕が君の脳になって、僕の気持ちや胸のアツさ、喜び、悲しみ、君に全部教えたい。」
どうして、あなたは。
「そして君の苦しみや思いも全部、共有したいんだ。」
こんなグズで、バカで、泣き虫な私なんかの中枢に
立ちたいだなんて言うんだ。
「勝ったとしても負けたとしても、その喜びや悔しさを君と一緒に僕は感じたい。だって、君は僕にとってずっと前からの大切な人なんだ。そのことについても、話したいからね。」
やっぱり
ずっと、前＿＿＿＿＿。
私たち、過去にどこかで会ったことがあるということ…？
「いずれにせよ、僕は君に会いたい。」
嘘だ、
私は会いたくない。
だって会えない、だから会いたくない、
もう_________嘘つきは、どっちだ。
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やっさん(プロフ) - もちまる。さん» 素晴らしい内容です。夢主さん、良かったですね(^o^)v。しかし、人生の本当の勝負はこれからですぞ〜(^^) (2020年10月27日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
一郎太と士郎が好きな者♪リン(プロフ) - 何か今更感溢れてるんですけど、完結おめでとうございます！(一年ぐらいたってるのにww) 私が占ツクを始めるきっかけとなったこの作品。 完成度が高くて、私もこんな作品を書けるような作者になりたいです！ ありがとうございました！！ (2020年4月22日 1時) (レス) id: e6fb3fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - やーだもう…青春…たまたま見つけて流れ読みしてきたら3時間前に完結してたんですけど…完結おめでとうございます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 36a6836253 (このIDを非表示/違反報告)
shoto(プロフ) - もっと評価されるべき。最高。こんな最高な作品と夢主ちゃん、野坂君を書いてくれて本当にありがとうございます。 (2020年3月29日 22時) (レス) id: ef163209c8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキウサギ - とても良かったです！！！！ 野坂さん最高ッス！！！！！！！！ (2020年2月27日 22時) (レス) id: ce069fbf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。 | 作成日時：2019年4月27日 23時
