《進撃の巨人》恋する心～幼馴染みの貴方へ～ (ページ47)

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＃47 足枷ページ47

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「A!」

『……っ、痛っ…』

まだ一位とそこまでの差はない。今走れば追いつける。
ズキズキと痛む腹部をおさえ、ゆっくりと立ち上がる。

目の前に転がったバトンに手を伸ばす。
けど―

―カランッ

『…えっ?』

すぐに走れば追いつける。そんな希望を打ち消すかのようにバトンは遠くへと転がっていく。

『う、そ……待って』

急いでバトンを拾い、再び走り出す。先頭との差はトラック一周分ほどある。ここから追い上げるのは不可能だ。

『(何で、みんなで頑張ってきたのに)』

早くバトンを渡さなきゃいけないのに涙で前が見えない。

『…っ、エレン!!』

――――――――

「ジャン、次だろ? そろそろ位置につかないと」

「わかってるよ。まぁ、このままいけば勝てるかもな」

「まだ終わってないんだからわからないよ」

「ったく、わかってるって」

「ほら、Aが走り出したから準備して」

自分の番がくるまでの軽く脚を慣らす。
ここまで来たら勝たねぇとな。

「あれ?」

「何だよ、マルコ」

「いや、Aの後ろの……何だか近すぎないか?」

「は? どこだ―」

そう言いながら顔をあげた瞬間、Aが転倒した。

「……なっ、!」

「A!」

「アイツ、Aになんてことをっ!」

「ミカサ落ち着いて競技中だから!」

怒り狂ったミカサは、視線だけで相手を殺せそうなほど殺気立っていた。

そして、バトンを持ってAが走ってきた。
その顔は涙で濡れていた。

『…っ、エレン!!』

Aがエレンへとバトンを渡し、そのまま膝から崩れ落ちた。
そこへみんなが駆け寄る。

『……ふ、…うわあぁぁ! ごめ、ごめんなさいっ!』

「A、よく頑張った」

「怪我は大丈夫なの?」

『私のせいで、……私が…足引っ張ったからぁ…!』

ボロボロと涙を流すAをこれ以上見ていられなかった。

―ブチッ

そのとき、何かがキレる音がした。

「……A」

『ジャ…ン、ごめん…なざい』

小さくなって震えるAの頭をそっと撫でる。
怖がらせないように優しく。

「……絶対勝ってみせる。そこで見とけよ」

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