若き星は光る 2試合目

#13 続 ページ13

ちょっとだけ昔のお話



「Aってなんか優しすぎるよな。」


高校生の俺はそんなことをよく言われた




もし、思ってることと違くなっても


『僕はそれでいいよ。』


『みんなに合わせるから。』



と言うのが口癖





日々、自分を押し殺すのに必死だった



もっとこうだったらいいな


ああしたいな



なんて言いたいけどそんなこと口出ししたら
"いつ離れて行くかわからない"から






友達が、家族が、周りの人が、いつ自分から離れてしまうのか



ずっと怖くて、お人好しを装ってきた






年齢を重ねる度に増して



"俺"を"僕"に変えた


"積極的"を"消極的"にした


"京都弁"を"敬語"にした




だけど、唯一自分を出せたのが野球だった


相手が弱くても容赦なく、強くても怯まず、全ての力と努力をぶつけられた。



だから、大人になっても続けよう

そう決意した







プロになれた。ベイスターズに入団した。




『桃樋川Aです。よろしくお願いします！』


またここで"僕"を作ろう






そう思っていた









でもプロは思っていたよりもずっと辛くて




『大丈夫です。』



そう言って笑うのも苦しくて






打てなかった時にため息を出すファンにも



じゃあお前は打てるのか



って言ってやりたいくらいに






自分の中で今まで溜まっていた想いが溢れだしそうだった









そんな時にCSファーストステージ最終戦がやってきた




負けた時、本当は叫びたいくらいだった


泣きわめいてやろうかと思った




でも、そんなことしたら"僕"じゃなくなる





苦しくても、辛くても、疲れていても、必ず想いは口に出さない







大「A、辛かったら全部吐き出していいんだよ。」




大和さんがそう言ったときは、"作ってきた自分(僕)"も"閉じ込めていた自分(俺)"も驚いた。





まるで、"僕"の存在に気づいていたかのように感じた






それと同時に、今までの自分が崩れた




無理やり作った笑顔も



押し殺そうと考えていた気持ちも





全部全部






そして、ベイスターズ(ここ)でなら

自分を作る必要が無いと思った




そんなことを考えられるのは初めてで




怖いけど






この人達ならきっと大丈夫







どんな俺も受け止めてくれる









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主人公くんの昔のお話を入れてみました。

なんか話の路線ズレてる？ズレてない？笑


本編、、、

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