【オリジナル】紫の花が咲くころに君という花に会いたい (ページ18)

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18話ページ18

堀河さんと一緒に家に帰る途中

ふと堀河さんが口を開いた

「そういえばね。

尾沢くんの描く絵が変わってから、

1回だけ前みたいな絵を描いてたことがあったな」

「それってどんな絵？」

「紫の花の蕾なんだけどね、

花の品種は分からなかったな。

なんだか悲しげでね」

紫の…花……？

「それに蕾の絵なんて珍しい

一般的に、花は咲かせた姿が1番綺麗なのに

でもあの花…綺麗だったんだよ…

だからこそ咲かせたところが見てみたいような

そんな花だったよ」

私はその話を聞いた途端、涙が溢れてきた

「えっ、ちょっと！芽出、大丈夫？」

なんだ…そんな絵を描いていたのか……

見てみたい…

本当に結斗の…ばか……

思わず口元が緩んでしまう

恥ずかしくて照れくさくて

「…芽出？」

「…ありがとう堀河さん」

堀河さんはなぜ「ありがとう」と言われるのか分からず

頭の上にはてなマークを浮かべている

私は続けた。

「その絵の花が咲いたところ

堀河さんに見せられるように

私、頑張るね」

こんなにも私は幸せ者だったのか

気づくのが遅すぎるなぁと自分で呆れてしまう

まだ、結斗とまっすぐ話すには

まだ心の整理が追いつかないけど

近いうちに

頑張ろうと思う

でも、早く話したくてうずうずする自分もいる

結斗…私もやっぱり変われなかったみたい

「ねぇ堀河さん」

「なぁに？」

「真子って呼んでもいい？」

「もちろんだよー！」