【オリジナル】紫の花が咲くころに君という花に会いたい (ページ1)

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1話ページ1

窓からオレンジ色の光が差し込んでいる。

物音ひとつしない、学校の階段。

今日は天気がいいから、声を押し殺して涙を流す。

何かわからないこの感情を涙として体から消し去る。

誰もいないこの階段で泣くことは私の日課のようなものだ。

泣くことで私は私として生きていける。

明日も元気に過ごしていける。

この時間のこの場所はなぜなのかいつも誰も来なかった。

おそらく、とくに意味はないと思う。

ただ単にこの場所に用事のある人がいないだけなんだろうと思う。

私だって、泣く以外の目的でここには来ない。

それに人が来なければ別にここじゃなくたっていいのだ。

家に帰ってからだと親に少し心配されるから

どこかないかと探した結果がここだった。

「(そろそろ帰らなきゃ……)」

涙を袖でゴシゴシと拭き、両方の頬をパチンッと叩く

「よしっ」

「えっ……？」

ふと、後ろから声がした。

何かと思い振り返る。

階段の上。そこには男の人が立っていた。

身長が高く、すらっと長い手足、どこかの学校の制服。

少し長めの前髪からのぞく黒い瞳が綺麗だった。

思わず見とれてしまい呆然と立ち尽くす。

お互い見つめあい、何秒か静かな時間が続いた。

私はやっと我に返り

泣いていたところを見られてしまったのを思い出した。

その瞬間顔が赤くなったのが分かった。

どうしたらいいの分からなくなり

とりあえず、声をかけてみる。

「あ、あの……」

この一声で彼も意識が戻ったようで

「はっ……！」

と、声をもらす。

その後、あわてたように口をパクパクしはじめた。

思わず頭の上に？をうかべていると、

彼はごくんと唾をのみ、思いっきり息を吸った。

そして、

「すいませんでしたあああああああ！！！！！！！」

走り去っていったのだった……