29カラット 胸騒ぎと愛おしさ ページ31
月明かりに照らされた
病室に
Aがいた
Aがパソコンを打つ音がこだましていた
A：はぁ、胸騒ぎがする…
病室にいるという無力な自分には
この胸騒ぎのわけを知る術はなかった
すると病室の扉が開いた
A：なんのようかしら？
ウィルナイト
ウィル：まぁまぁ、
そんな怖い顔しないでよ
御見舞に来たんだからさ
A：そんなの頼んだ覚えはないわ
ウィル：まぁまぁ、そう言わずにさ
これを見てみなよ
そう言って
ウィルナイトは
一台のパソコンを開いた
そこに映し出されたのは
次々に倒れていく
ジョーカー
スペード
クイーン
そして
桜乙愛
の姿だった
A：なんのつもり？
ウィル：今の映像は今さっき
椿グループの本社ビル前で
撮影された映像だよ
A：っ、椿のやつ…！
A：みんな今行くから…！！
ウィル：ひとりでかい？
A：…何が言いたいの？
Aが、そう言うと
ウィルナイトは
少し微笑んだ後
何も無いハンカチから
花を取り出し
Aに差し出した
A：モッコウバラ…
A：花言葉は
「 あなたには私が必要です 」
A：随分な自信なのね
いいわ、行くわよ
ウィル：ありがたき幸せ
病院を出ると
ウィルナイトが運転する車に乗り込み
椿グループの会社を目指し
車を飛ばした
静かな車内
互いの呼吸が聞こえるほどに
街は眠りについていた
A：ねぇ、
ウィル：ん？
A：なんでこのことを
私に知らせたの？
ウィル：そんなことか
ウィル：それは
ウィル：君たち2人が
いなきゃいけないからだよ
ウィル：ブラックローズダイヤを
輝かせるにはね
やはりウィルナイトも怪盗だ
自分の私利私欲のために動く
それを改めて痛感したAだった
A：っ、、そんなことなら
なぜ私たちを捕えない！
ウィル:：そう怒らないでくれよ
君たちが成長するのを
ただ待っているだけさ
A：つくづく嫌な男
ウィル：それは褒め言葉として
受け取っておくよ
ウィルナイトは
絶えず笑顔を絶やさず
Aとの会話を
楽しむように
そして
懐かしむように
Aを見ていた
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作者名：咲亜＆氷水 | 作成日時：2016年5月28日 15時
