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探偵社を出て階段を下った後、
私は立ち止まって鏡花ちゃんに振り返った

「私この街に出るの本当に久しぶりで…そのクレープ屋さんまで案内お願いできる?」

泉「後で芥川からきいた、数年引き籠ってたって」

「あはは…いろいろあってね」

泉「こっち」

鏡花ちゃんの後をついて歩く
少しばかり警戒はされていたけど話していく内に薄まっていった

泉「ここ」

「はぁ…これがくれーぷ?」

泉「食べたことないの?…ですか?」

「敬語なくていいよ、そうなんだよねぇ」

作りたてを2つ買って近くのベンチに座る
因みに私が鏡花ちゃんに奢ったよ、年下に払わせるわけない(((
私は恐る恐るそれを口に運んだ

「!…おいしい」

泉「おいしい」

隣を見れば黙々と食べる鏡花ちゃん
顔が膨らんでリスみたいで、とてもかわいい

「おいしいねこれ」

泉「うん、大好きなの」

「敦君だったから?」

泉「…どうだろう」

食べ終わって満足そうにお腹をさする鏡花ちゃんを横目に空を仰ぐ
真っ青な晴天だ
優しい風が頬を撫でる

「鏡花ちゃんさ、もうマフィアに戻ってきちゃだめだよ」

泉「!」

「きっと姐さんは君を捕獲しに来る、それでも諦めちゃダメ」

肩を掴んで少し強く言う
鏡花ちゃんは目を大きく開いて怯え始めた

「姐さんも色々あった身なンだ…わかってあげてね」

頭を優しくなでると、私は立って伸びをする
鏡花ちゃんの手を無理やり引いて走る
目的地は元いた場所

泉「何で、探偵社に…」

「約束は果たしたよ、クレープは食べ終わった」

乱暴に探偵社の入り口の扉を乱暴に開けて鏡花ちゃんの繋いでいた手を投げた
鏡花ちゃんは重力に負け敦君にもたれ倒れる
私はそのまま鏡花ちゃんの前まで大股で歩く

中島「何してっ…」

敦君の声なんか知らないふりをして、鏡花ちゃんの前にしゃがんだ

「君の居場所はここだよ鏡花ちゃん、負けちゃダメ、これから敵同士にはなっちゃうけど…それでも裏切るようなことはしないでね、此処には君を必要としてくれる人たちがいる

私みたいになってほしくない」

軽く太宰さんを睨みながら言う
太宰さんは何とも言えない目で私を見てから床に視線を落とした

肩を握りしめるようにつかむ私に、鏡花ちゃんは驚きながらも真剣な表情で私を見ていた
強い視線を交え、私は頬を緩める

「戻って来ないでね」

頭に手を置き、その場を立って
最後に笑って見せた

そのまま私は探偵社から姿を消した

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作者名:*憂鬱* x他1人 | 作成日時:2016年10月30日 16時

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