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第110話 ページ17

ジェイド「僕達は昔、貴方とお会いした事があります

貴方は覚えていらっしゃらない様子ですが、僕達はそれを覚えているんです

こうして再会できた事が、僕とフロイドにとって喜びなんですよ」


『は…?』


ジェイド先輩は笑っているけど至って真面目にそう言っている


僕がこの人達と会った事がある?


あの紅茶の件の事ではなくて?


ジェイド「あぁ、先日の件ではなくて、珊瑚の海で2年ほど前にお会いしてるんです

貴方は覚えていませんか?」


『…?』


そんな事あったか?


全く思い出せん


ジェイド「…まぁたった一日の一期一会、お忙しい身の上である貴方が覚えていらっしゃらなくても無理はありません

しかし、僕達は貴方に出会えた事を今まで覚え続けておりました

フロイドはあの日以来、貴方とお会いしたくて仕方なかったんですよ

その気持ちだけはどうか受け取っていただきたいですね」


いや、そう言われましても


そんな出来事は覚えていないし、大体どうしてそこまで好き好まれているのかも分からない


そう思ったその時−−−−


フロイド「覚えてねーの?

じゃあこれなら思い出せる?」


そう言ってフロイド先輩は柔和な笑みのまま突然歌い始める


僕の知っている、ある歌を


フロイド「We'll get used to this hoax that our love made−−−−」


ジェイド「When the moon come out to watch the bright day light die−−−−」


『…あ…』


2人の歌声は透明で美しく、僕の記憶をどこかから呼び起こさせる


まだ僕が綺麗でいられた時の記憶を


ここまで歪んでいなかった自分自身の在りし日の記憶を思い出させる


『…それ…』


ジェイド「どうして知っているか、ですか?

それは貴方が歌っているのを聞いた事があるからです」


『…ッ…じゃあ本当に…』


そう言いかけたその時だった


『…あ…』


2人の顔に見覚えがある


僕はこの2人の顔をどこかで見た事が確かにある気がする


でもこんな姿をしていなくて−−−−


『…人魚…?』


ジェイド「おや、思い出しました?」


『…ッ…!!』


僕はある日の記憶を思い出して、そして今ここにある現状と照らし合わせて驚きと恐怖で思考が色々追いつかなくなっていた

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作者名:ユウ | 作成日時:2020年12月29日 15時

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