The invisible story 2 (ページ50)

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第94話ページ50

『…え…？』

なんかこの人聞きたい所だけ聞いて別に何も詮索しないな

いや、それで別に良いんだけど

良いけど、なんか少し狡いなと思ってしまうのはいけない事なのだろうか

ルーク「君の公演を実は今度見に行こうかと思っててね…

私は舞台鑑賞が趣味で、君が舞台役者だと知って純粋に興味があるんだよ

でも、君とは普通に後輩として仲良くもしたい…そこでだ」

そう言うと突然こんな事を言い始める

ルーク「…今度君が舞台の公演が終わった後に、一緒に食事でも行かないかい？

ヴィルも誘って」

『…え？』

いや、突然のカミングアウトで全くついていけない

舞台好きなの？

あぁ、そうなんですね

いや、そこじゃないけど

ヴィル先輩を誘って食事へ？

いや、何でそんなハードルの高い事を言うんだ？

因みに言えば次の公演って今週末の話なんですけど

え、チケット持ってる感じ？

いや、そこじゃない

そこじゃないけど

『…えっと…あの…』

ルーク「おや？後輩との親睦を深めたいと思う気持ちは私は譲る気はないよ

君の事を思っているが、私自身も君を堪能していたい

それは悪い事ではないだろう？」

ルーク先輩は満面の笑みでそう言う

『…』

…やっぱり僕の周りの人って変な人ばかりだ

いや、知ってたけど

知ってたけど、どこから何を突いて出してしまうものか分かったもんじゃないなと思う

この人もただの良い人ではない

変人は変人だ

いや、だから嫌いとかそういうのでもないけど

え、僕この学園でやっていける？

大丈夫？

色々精神保つ？

普通に心配になってきて、何か自分を大切にしようと勝手に思ってくる

ルーク「…で？何が食べたいかな？」

『…いや、えっと…』

ルーク「うん？」

『…じゃあ…魚で…』

ルーク「フィッシュ&チップスで良いかな？」

『…あ、はい…』

何か変な答え方しちゃったな

まぁ良いや

なるようになってくれ

ルーク「ではヴィルにも話をつけておくね

色々聞かせてくれてありがとう

これからも宜しくね、ムシュー・生花！」

ルーク先輩は良い笑顔をしたまま颯爽とその場からいなくなってしまった

この時はまだ、僕がこの学園で新たに発生する事件に巻き込まれる事になるとは知らないままでいた

いや、巻き込まれるのではない

本筋の物語の裏に少しだけ「組み込まれていく」事に僕はこれからなるのである－－－－